性「産業」労働者、正当な労働者の権利を求める

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年2月

性「産業」に従事する女性グループと11カ国のアジア太平洋地域(オーストラリア、バ ングラデシュ、インド、インドネシア、フィリピン、フィジー、日本、マレーシア、ミャンマー、アメリカ、タイ)のNGOが、バンコクで開催される11月15~19日のセミナーに参加するために結集した。このセミナーの目的は、性「産業」が正当な産業であるという世界的な認識を高め、そこに従事する労働者の権利を守るための具体的な政策を話し合うことであった。

セミナーでの議論は、社会の中の性「産業」とその現実問題に焦点が当てられた。NGOの代表者であるチャンタビーパ女史は、性「産業」労働者はマフィアのビジネスから搾取されていることを認識すべきであると語り、一方で、各政府は、性「産業」を産業として認 めることは否定しているが、アジア太平洋地域のほぼすべての国で性「産業」からの収益が観光の中で最も大きな収入を占めている事実を指摘している。例えば、毎年タイには性「産業」から500億バーツ(1バーツ=2.72円)の収益が上がっているという。

同女史は、売春がアンダーグラウンドのビジネスとして、またマフィアの管理下に置か れている要因は、各国が売春を法律外のものとして扱っているため、としている。そして、性「産業」は拡大しつづけているにもかかわらず、労働者の権利は剥奪されたままとなっている現状や、性「産業」労働者は、ホテルやレストランといったサービス産業従事者と同じように扱われるべきであるとの考えを報告した。そのため、各NGOは、性「産業」従事者も合法的な職業として社会に認識されるための運動や、エイズと避妊具の利用、女性 と子供の権利に対する認識を深めるための社会活動を行っている。

このセミナーに参加した多くの女性労働者は、性「産業」労働者も、他の労働者と同様の「労働者の権利」、例えば健康保険や年金制度、結社の自由や、発言の自由などを持ちたいと、強く主張した。

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