新調停機関の助力で、薬剤師のスト回避

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

スウェーデンの記事一覧

  • 国別労働トピック:2001年2月

2000年11月14日は、全面的薬局ストの期限日であった。しかし、新調停機関の尽力により、薬剤師組合と薬局チェーンApoteket AB(同社および他の小さい支部について使用 者組織 ALMEGAが代表している)は、実際には11月15日午前1時に、合意に達した。2000年6月1日に発足した政府の新調停機関が調停に成功し、その問題解決能力を示すことができた。

薬剤師専門職組合Farmacevtforbundetの組合員である4500人の薬剤師は、4%の昇給 と不都合な時間に働く際のボーナス引き上げを要求していた。調停者が考慮しなければならなかった問題は、薬局技術者の組合が、すでに3.38%の賃上げを獲得し、今後薬剤師専 門職組合がより良い条件を交渉で獲得した場合は、完全な補償を得るという趣旨の協約に合意したことである。職員労働組合連合(TCO)は、概してより高学歴の専門職組合を待つことなしに、いち早く協約に署名し、専門職組合はこれに失望した。大卒専門技術労働者労組連合(SACO)の加盟組合である薬剤師専門職組合は、5年間の大学教育を受けた薬剤 師と、3年間の大学教育を受けた処方薬剤師を組織している。一方、TCOは、スウェーデン全国で900近くの薬局Apoteket ABで働く、約5000人の組合員を抱えている。TCOは、薬剤師も組織しているが、組合員の大半は、おおむね高校教育しか受けていない薬局技術者である。

ストライキがもし起きたとすれば、TCOとSACOの2つの組合の間に、強い対立意識を生じさせたであろう。すでに部分的紛争の期間に、薬局技術者および未組織者が、資格のない仕事を行っていたとの非難が専門職組合から出されている。もう一つの複雑な要因は、TCOが薬局支配人を含む専門職労働者の間にも組合員を抱えているという事実であった。部分的紛争は、2000年10月14日から続いていたが、薬剤師が、残業時間中の職場封鎖および2つ以上の薬局店舗で働いたりすることについて拒否していた。専門職組合が主導した残業の禁止は、早い時間に閉めなければならなかった大都市の薬局およびその支配人にとって、打撃となった。

薬剤師組合と薬局チェーンApoteket ABが結んだ協約は、2000年7月1日からさかのぼって10カ月のみを対象期間とし、TCOに与えられたのと同じ昇給率3.4%を与えている。組合は、比較的低い賃上げを受け入れた代わりに、土曜出勤に対する補完的賃金の改善と能力開発パッケージを得た。組合交渉者によれば、両者は併せて賃上げ0.5%の価値を持つということである。今後、使用者および調停者は、新しい合意を検討するため TCOと会い、それがすでに TCOが合意したものよりも何らかの形で上まわるかどうかを決定する。 その場合、必要な調整を行わねばならない。

2001年2月 スウェーデンの記事一覧