顕在失業率4%を下回る

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年2月

2000年11月9日、スウェーデン政府およびその全国労働市場庁は、2000年末までに4%以下の顕在失業(open unemployment)率という政府目標が事実上達成された、と発表した。次の目標は完全雇用である。完全雇用とは、通常の状態では、再雇用までの失業期間にある労働者の比率が労働力人口の2%未満であり、訓練その他の公共事業プログラムなどの労働市場政策における労働者の比率が3%を超えないこととされている。

過去3年間、EU平均の1.5%に対して、年2%の雇用の増加が見られた。2000年10月末に、職業安定所に登録された失業者数は17万3000人であり、1年前の3分の2となっている。労働市場政策の対象者も、前年比で減少した。

しかし、雇用増加については地域格差が大きい。大都市では熟練労働力が不足しているが、林業中心の州(county)では、労働力の13.5%が正規労働市場の外にいることが示されている(ノルボッテン州)。

非常に良い傾向は、過去2年に長期失業者が顕著に減少したことで、1年前の10万人以上から、2000年3月には5万3000人に減少した。働くことができる障害者で失業している人は、18%減少して2000年10月末に1万9000人となった。

スウェーデン以外で生まれた労働者(「移民」に代わって現在使用されている用語である)については、国内で生まれた人よりも雇用増が大きい。2000年の前半、スウェーデン生まれの市民の雇用増は1%であったが、外国生まれの労働者については3.6%増であった。外国人市民については、さらに大きく5%であった。

20歳から24歳の若年層では、3万5000人が失業者または労働市場政策の対象者として、依然、正規の労働市場からはみ出しているが、この数は、1年前に比べて1万2000人少ない。

失業が根強く残っている唯一のグループは、55歳から64歳の高年齢労働者である。5万9000人が失業または政府労働市場政策の対象であり、1年前に比べわずかに1000人減ったにすぎない。

しかし、上記のような改善を示す統計にもかかわらず、以下の点に注意すべきである。考慮すべき最も重要な統計数値は、失業者数や雇用増よりも就業者総数である。不景気の底の1994年に比べれば、現在確実に25万人多い労働者が就業している。しかし、1984年に比べると、現在の就業者数は3000人少ない。スウェーデンは、2004年までに20歳から64歳の人口の80%を就業させるという目標を達成するため、16万7000の新しい職を必要としている。

スウェーデンでは、まだ完全雇用に近いとは言いがたい。雇用統計の中の公式数値に加え、失業者として登録することに価値を見い出さない12万9000人の潜在求職者がいる。また、パートタイムで働いているが、フルタイムを希望する不完全雇用者が25万人いる。これに顕在失業者と労働市場政策の対象者の合計である30万人近くを加えると、失業または部分的に失業している者は70万人で、労働力人口の16.5%になる。

これらの雇用および失業の数値は、国際比較にも用いられ、スウェーデン統計局が聞き取りの結果集計した労働力調査AKUに基づいている。この数値は間もなく発表されるが、顕在失業率がさらに減って、3.6~3.7%となる可能性が高い。しかし、2000年の失業率は、通年の平均を示したものであり、4%というよりも4.5%に近くなるだろう。