海外労働者、エストラーダ大統領の退陣を要求

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年2月

海外で働くフィリピン人労働者の一部が、エストラーダ大統領の弾劾裁判が行われている中で、大統領の退陣を要求し始めた。

イタリアのフィリピン人労働者協会(Afli)の創設者の一人で、現在事務局長を務めるトーマス・コンセプション氏は、エストラーダ大統領の退陣を求めた。これは海外の労働者の組織としては最初である。コンセプション氏は、自国の大統領への信頼喪失に起因するフィリピン経済の継続的な悪化に対し深い憂慮を表明し、海外労働者は、経済が悪化する中で国内の家族の将来を痛切に心配し、現在失業中の多くの自国民が、衣食にも事欠くかもしれないと憂慮していると述べた。また、ある労働者は、フィリピン人労働者は、イタリア人の社会で勤労と誠実の点で尊敬を受けてきたが、しかし現在は、マフィアのボスの国民と称されていると訴えた。

サウジアラビアで働く多くの労働者も、政治的混乱を除去し、国民がかつて政府に抱いていたような信頼を回復するために、エストラーダ大統領が辞職することを希望した。度重なるスキャンダルを引き起こしている現政権は、国内の国民に幻滅を感じさせているが、サウジアラビアのフィリピン人労働者も自国の政情に無関心ではない。かなりの数のフィリピン人労働者が、エストラーダ大統領の退陣要求署名活動に参加する予定である。

全米でも、フィリピン移民協会によって組織された数十万人の海外労働者が抗議行動を実施する準備を進めている。

ある海外労働者は次のように訴えている。フィリピンの海外労働者は、アキノ政権下で不在者投票制度が設立され参政権を与えられた。ラモス政権下では、下院での被選挙権が与えられた。しかし、エストラーダ政権下では、海外労働者の政治的地位の向上が見られず、これは現政権が、海外の労働者の政治的権利に関心を払っていない証拠である。

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