正式契約での就労者が増加
正式契約の雇用者が就労人口の50%以下となり、社会保障制度の前途が危ぶまれているが、労働省の集計によると、2000年に入り非合法就労が減少し、正式雇用が増加しており、労働省はこれまでの労働市場の傾向が変わりつつあるとしている。
1988年憲法が労働者の保護と権利を拡大し、企業の負担が増加した。このため1990年代に入って企業は正式雇用従業員を解雇したり、付属部門を下請化するなどコスト削減策をとった。その結果、非公式雇用が増加し、1991年に就労者の56%であった正式就労が、2000年上半期は43.5%まで下がった。
労働省の記録では1994~99年に製造業だけで正式雇用を56万9169人減少させ、全産業レベルでは91万2196人の正式雇用が減少している。それが2000年の1~9月には全国で正式雇用が86万7477人増加して、1994~99年に減少した91万2196人の95%が回復したと発表された。ドルネーレス労相は、これを見て2000年中に正式雇用は100万人増加すると予想した。非公式雇用も100万人の増加と予想されており、労相は2000年中に失業率は6%に下がると見ている。
大蔵省では正式雇用の増加を、企業家が経済回復の続行を確信した結果だとしている。経済活動が活発化すると通例雇用を増加させるが、なかでも正式雇用の増加は、その後も回復が続行すると企業が信じたときにのみ増加するとの考えからである。
政府は、正式雇用の増加を協調しているが、実は非公式就労はより増加している。非公式雇用研究の専門家であるリオ・カトリック総合大学のマルシオ・カマルゴ教授は、ブラジル地理統計資料院の資料を分析して、9月に正式雇用は前月比で1.1%増だったが、これに対して非公式雇用は0.9%、自営が1.4%増加している。自営の大部分が就職口がない現状を切り抜ける手段になっており、この点からすると、非公式就労はより増加したのではないかと見ている。
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