コカ・コーラ社人種差別訴訟、和解金1億9250万ドル

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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コカ・コーラ社は、2000年11月16日、雇用における人種差別をめぐって黒人従業員が集団で起こした損害賠償請求訴訟の和解金として総額1億9250万ドル(約210億円)を支払うことで合意した。米企業の人種差別訴訟和解金としては、1996年に石油大手テキサコ社が合意した1億7610万ドルを抜き、最高額となる。

同社が和解金を支払うのは、1995年4月から2000年6月の間に、同社に勤務していた黒人元・現従業員の約2000人に対してである。これらの従業員は、賃金・昇進・能力評価・解雇・配属などの人事で差別を受けたとして、1999年4月にジョージア州アトランタの連邦地裁に提訴、2000年6月に同社と和解した(本誌2000年9月号参照)が、和解金額についての協議が続けられていた。

テキサコ社の和解内容と同様に、コカ・コーラ社は、公民権、人種的多様性、労働問題などの専門家7人から成る監視委員会を設置することに合意した。監視委員会は、今後4年間、黒人従業員が昇進や能力評価などの点で差別的な処遇を受けていないか監視し、和解内容の遵守状況について年次報告書を作成する。同社は、業務上の支障が大きいので免除するという司法判断を得ないかぎり、監視委員会の勧告を履行しなければならない。委員7人のうち、3人がコカ・コーラ社によって、3人が原告によって、議長となる1人が同社・原告双方により、それぞれ任命される。この7人が、2人の産業心理学者とともに、同社の雇用政策とその実践を調査する。さらに、同社取締役会が、社内での雇用機会均等が進んでいるかを検討する委員会を設けるよう義務づけられた。上記和解金額は、これらの雇用政策監視や是正措置の実行などに費やされる3600万ドルを含んでいる。

約2000人の原告黒人従業員は、平均で約4万ドルの賠償金を受け取る。各人の受取額は勤続年数などにより異なる。ただし、各従業員には和解を受け入れずに訴訟を続ける選択肢も残されている。コカ・コーラ社には、今回和解した黒人従業員よりも多くの賠償金を求めて、4人の黒人元従業員が起こした第2の人種差別訴訟が残されており、有名な弁護士が150億ドルの損害賠償を求めている。

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