技能労働者不足IT分野で、年齢差別が蔓延

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

イギリスの記事一覧

  • 国別労働トピック:2001年1月

技能労働力の不足が深刻化しているIT分野で、年齢差別が蔓延しているとの調査結果が出された。約1400人のIT関連専門家を対象に調査したところ、3分の2が45歳に達したら職が得られないとの不安を抱いており、また、4分の1がIT分野では40歳で「中高年労働者(older workers)」として分類されると答えている。5人に1人が「中高年」年齢を35歳と答えている。

調査を行ったのは、「年齢についての使用者フォーラム」。調査結果を受け、同責任者のサム・マーサー氏は「政府およびIT産業が、技能不足に真剣に取り組むつもりがあるなら、35歳という若い労働者たちの貢献と経験を過小評価するような現在の風土を変えるべきだ」と論評している。

調査では、また、回答者の大部分が、年齢差別を防止するために政府が設けた行為準則の存在を知らず、5人に4人が政府に年齢差別対策を強く求めていることがわかった。また、回答者の85%が、「中高年」労働者は電子ビジネスに必要な技能を持っているし、また、習得することができると答えたものの、回答者の66%は35~54歳で、35歳以下はわずか23%しかいない。

マーサー氏は、政府が現在進めている移民規制の緩和は、英国の労働力人口を増加させるものの、それだけでは不十分であると述べており、また、国際的な労働組合であるユニオン・ネットワーク・インターナショナルも、IT技術者不足への対応に関して、政府は、途上国から人材を引き抜くことによってではなく、中高年層、若年層、女性を訓練することによって取り組むべきだとする報告書を出している。

企業の7割以上が人材難

求人仲介業のリードが10月17日に発表した調査結果によると、人材不足に苦しむ企業の数が半年前と比べて26%増加し、72%に達した。

調査は、550社を対象に行われた。業種別ではサービス業が最も深刻で、82%が人材難にあり、同様に小売業では74%、製造業では70%、公共部門では61%となっている。

調査結果についてリードは、英国企業の成長維持にとって脅威になるであろうと警告している。

2001年1月 イギリスの記事一覧

関連情報