政府、海外労働者のクリスマス送金を期待
政府は、ペソが下落する中で、今年は特に海外労働者からのクリスマス送金に期待を寄せている。
ペソは下落しつづけ、10月4日午前、対ドル交換比率が46.61ペソ(1ペソ=2.25円)という歴史的な低い値をつけた。このため、フィリピン中央銀行が介入し、通貨危機対策を発表した。その後持ちなおしたが、多くの市場関係者は、ペソの下落が止まったとは考えていない。
オール・アジア・セキュリティズの主席エコノミストのビラモル・バイタル氏は、市場には、ペソがまだ安定していないという認識が強く、重大な変化がないかぎり、ペソは下落しつづけると述べた。銀行のあるトレーダーは、買い支える要素が見当たらないとコメントした。
これまでの政府の発表では、ペソの下落は、ドルの強さと世界的な不景気に起因するとされ、経済担当の官僚は、他の通貨の中にはペソより早く下落したものもあると指摘していた。
ペソの下落は、フィリピン経済に輸出の増加を促したが、原材料を輸入に頼っている電子部門等の国内産業は、生産コストの上昇に直面している。さらに、国内の石油製品価格が高騰し、これが運賃を中心に諸物価を上昇させている。
このような経済状況の中、政府は、為替問題を安定させるため、約550万人の海外労働者からのクリスマス送金に期待を寄せている。中央銀行が国際収支の貿易外収支を基礎に計算した海外労働者からの1999年の送金額は67.9億ドルに達し、実際には、直接持ちこむ外貨を含めるとこの数倍になるとみられている。
しかし、2000年の送金額は低調である。
フィリピン中央銀行調査部によると、2000年上半期は29.9億ドルで、前年同期比で23%の減少であった。2000年6月だけを見てみると4億9400万ドルで、前年同月比で21.7%減少している。
海外雇用庁政策計画部のダニー・アルカンタラ氏によると、海外労働者数は、わずかに増加し、賃金も下がっていないにもかかわらず、送金額は減少している。
フィリピン銀行協会の主席エコノミストのジョニー・ノエ・ラヴァロ氏は、多くの海外労働者は、ペソがさらに下落すると憶測し、ドルを海外で保有しているようだと述べ、ペソが弱含みを続けているかぎり、海外労働者からの送金は先延ばしされると予測している。
このため政府は、例年にも増して、キリスト教信徒の多い海外労働者から本国の家族への多額のクリスマス送金を期待している。
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