インターネット企業の人員削減増加

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年1月

再就職斡旋会社チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスによると、2000年5月以来、インターネット企業の一時解雇者数が増加を続けている。2000年1月から9月までの9カ月間のネット企業の一時解雇者数は1万6289人であった。2000年9月の一時解雇者数4805人に比べ、10月20日現在、10月の一時解雇者数がすでに5677人に上っている。10月には、健康情報提供のウェブ MD が1100人の大量解雇を行うなど、有力企業での人員削減が目立つ。

この調査を始めた1999年12月には301人にすぎなかった人員削減は、2000年5月に、投資家がネット企業に対し、単なる将来性だけでなく収益性を求めるようになると急増し、8月以降は毎月4000人を超える人員削減が行われ、2000年通年で3万人を超す見込みである。1999年12月以来、ネット企業274社が人員削減を発表し、44社が市場から退出した。同再就職斡旋会社の予想によると、クリスマス・シーズンに、消費者に直接商品販売を行うインターネット企業の多くが期待通りの売上を達成できず、11月、12月、1月に人員削減の山が訪れる可能性がある。実際、2000年11月にも月半ばまでに、ペット用品のペッツ・ドット・コム、健康食品のマザーネーチャー・ドット・コム、食品雑貨のストリームライン・ドット・コムが倒産したが、これらは、2000年春以前に株式を公開し、巨額の資金を調達したものの赤字が続き、新規資金を調達できず行き詰まった。2000年に100社近くの消費者向けネット企業が倒産したが、それらの共通点は、追加資金の調達も企業身売りもできなかったことである。ネット専業サイトの魅力が薄れている理由として、既存小売業者などのネット事業への進出により、店舗を持たないネット専業サイトに安定した売上を期待できないことなどが指摘されている。

経営者が経営状態を社員に知らせず、破綻寸前にも社員を新たに採用していた APB オンライン社(ニュース提供)は、2000年6月5日に解雇手当なしに140人を解雇した。このように、ネット企業から人員削減された社員は、しばしば解雇手当がなかったり少額であることに愕然とし、十分な再就職支援相談を受けられなかったと不満をもらす。失業者への対応に不備が目立つのは小規模ネット企業に多く、経験豊かな人事担当者は少数にすぎず、明文化された人事政策を持たない会社も数多く、解雇された労働者が、解雇者を指定する手続きが正当でないと会社を訴える動きも出ている。

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