労働団体などが燃料価格の上昇に反対デモ

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年12月

世界的に石油価格が上昇し、世界各地で住民運動が行われているが、インドネシアでも例外ではない。政府は、2000年2月の国民議会において、燃料価格の平均12%の引き上げを2000年10月1日より一斉に実施することを決定した。これにより、原油価格は1lあたり1000ルピア(100ルピア=1.16円)から1150ルピアへ、ディーゼルは550ルピアから600ルピアへ、灯油は280ルピアから350ルピアへ、重油は350ルピアから400ルピアへと引き上げられた。

これを受け、ジャカルタでは10月1日、インドネシア人労働者のための全国闘争(FNPBI)、全インドネシア労働者連合改革派(SPSI-Reformasi)、インドネシア福祉労働者組合(SBSI)、インドネシア自由労働組合連合(Gaspermindo)といった労働団体が、首相官邸前に結集し、燃料価格の値上げを取り下げるよう要求した。また、同時に、現在ジャカルタ市で定められた34万4500ルピアの最低賃金を100%引き上げるように求めている。現地紙によると、燃料価格の上昇によって、生活必需品の価格が7~20%上昇したと伝えられている。このような物価の上昇は、労働者の生活を逼迫するため、労働者は、燃料価格の据え置き、あるいは最低賃金の引き上げを切望している。

政府側は、燃料価格引き上げ後の反対運動を予想して、ジャカルタ市内に1万8000人の警察官を動員し、非常事態に備えて待機していたが、大きな混乱はなかったと見られている。

南スラウェシの首都マカサールでは、マカサール大学の学生がガソリン・タンクを積んだトラックをハイジャックし、逮捕されたり、トラック運転手らがデモを行ったりした。

北スマトラのメダンでは、ガソリン給油所への放火事件や、何百人ものSBSI組合員が市の中心部を行進し、今回の価格上昇はワヒド大統領の行政の失敗である、と声高に叫ぶ光景が見られた。バンドンにおいても、学生が燃料価格上昇の撤回を求めてデモを行った。

西ジャワのボゴールでは、多数のバス運転手が燃料価格上昇に伴う40%の運賃値上げを要求し、ストライキを開始した。そのため、行政の代表者がストを行う運転手らの代表と話し合い、その結果、現在500ルピアの運賃を600ルピアに値上げすることで合意した。

インドネシアは石油産出国ではあるが、中小規模の油田が多く、国内原油生産は減少の傾向にある。1998年の原油の生産高は、約4億8000万バレルとなっている。

また、石油の国内消費の伸びも大きく、原油および石油製品の輸入量は年々増加してきている。1999年の統計によると、原油は中国、サウジアラビア、クウェートの3国から約935万トン、石油製品はシンガポール、韓国から約696万トンが輸入されている。

参考

インドネシア統計局ウェブサイト(Statistic Indonesia)新しいウィンドウ

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