航空協定問題決着、台湾でのフィリピン人就労事情改善
台北のマニラ経済文化事務所(Meco)のロドルホ・レヤス事務所長は、2000年9月24日フィリピンと台湾は、1年近く協議を続けた航空問題を決着させ、10月中に運行を再開させると述べた。両政府は、2000年9月26日台北で新航空協定の覚書に署名した。新航空協定は、2000年10月10日に締結される予定であったが、エストラーダ大統領の強い要請で早まった。この結果、台湾におけるフィリピン人労働者の雇用状況は大幅に改善されることになった。
この問題は、エストラーダ大統領がMecoにフィリピン航空に対しいくらか不利になっても台北との直行便を即座に再開させるよう命令し、決着した。新航空協定の内容は、1週間の乗客をそれぞれ最高で9600人にすること、マニラから台北経由で第三国に行く路線の認可等大幅に台湾側に譲歩したものであった。エストラーダ大統領は、新航空協定によりフィリピン航空(PAL)の条件が不利になることは十分認識しているが、新航空協定の締結による利益は、それよりはるかに大きいと強調した。
レヤス事務所長は、新航空協定締結後台湾に在住する約10万人のフィリピン人労働者の生活を改善するため全力を尽くしていると述べ、Mecoは、生活の非常に苦しいフィリピン人労働者に対する高額の職業紹介料金の値下げを働きかけていると発表した。また、レヤス事務所長は、台湾の企業がいくつかの部門では早急にフィリピン人労働者の雇用を開始することを楽観していると述べた。
フィリピン政府は、新航空協定により両国間の経済交流が盛んになるだけでなく、香港や第三国を経由し、高額の航空料金を支払い帰国していた多数のフィリピン人労働者に利便を与えると発表した。
フランシスコ・タタッド上院議員は、フィリピン経済は、フィリピン人の台湾での雇用、投資、貿易、旅行業において利益を得ることを確信していると述べた。
今回の航空争議は、結果としてフィリピン側に非常に高くついた。台湾は、2000年6月1日より主要製造業と建設業でのフィリピンからの労働者の入国を3カ月間制限した。台湾には、2000年3月末で30万1447人の外国人労働者が存在したが、うち37.4%、11万2859人がフィリピンからの労働者であった。フィリピン側のあるリクルート会社は、フィリピンは、この台湾の政策により2万人以上の職と約3億ドルの賃金を損失したと見積もっている。また、台湾の経済大臣は、第1四半期の台湾からフィリピンへの投資は、前年同月比72%減少し、39万ドルになったと発表した。
マニラ - 台湾間の直行便は、フィリピン政府が、台湾側に非常に有利な1996年の航空協定の再締結を拒否したため、協定が終了した1999年10月停止した。台湾は、フィリピン政府が、国際的な航空協定の再締結を拒否する場合は、協定終了1年前に警告を出すというルールを無視したと非難していた。
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