個人事業家の組合加入進む

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年11月

経営者団体ではなく、関連部門の労働組合に加入する個人事業家が増えている。彼らは、事業形態より所属業界そのものを重視しているからである。パートタイムで会社経営をしている自営業者が多いことも理由の1つである。また、事業者基金よりも組合が運営する失業保険の方が、個人事業家にとって魅力が多い。

自営業者が最も多く加入している組合連合は、大卒専門技術者労組連合(SACO)である。約5万人の個人事業家が加入しており、全組合員の約10%を占めている。これに対し、事業者団体「Foretagarnas Riksorganisation」には9万人が加入している。個人事業家の大半は、医師、歯科医師、弁護士、建築家などであるが、最近では土木技師が何年か企業で働いた後、独立するケースも増えている。新しい傾向として、若い技術者は、大学卒業後ほどなくして起業している。

このような流れには、いくつかの理由がある。中高年の技術者は早期退職を求められたり、人員削減や業務の外部委託の犠牲になっている。企業は正社員を減らし、代わりにコンサルタントからサービス提供を受けている。そのため、失業した技術者がコンサルタントとして古巣の仕事に携わることもある。

最大のホワイトカラー労組である事務技術系職員労組連盟(SIF)は、起業した元組合員や新組合員に特別なサービスを提供してきた。銀行員の組合や看護婦組合も独立する組合員に特別サービスを提供している。

ブルーカラー労働の分野では、高価な伐採機械を購入し、元の雇用主の下請業者として独立することを勧められている林業労働者が多い。組合はそうした労働者をある程度支援するが、林業を取り巻く状況が悪化すると失業するといった危険をはじめ、多額の投資に伴うリスクをとることに通常賛成しない。こうした起業家の中には、組合に留まる者もいれば、組合から脱退して完全に独立する者もいる。

塗装工の組合は、自営業者への対応策をかなり前から協議してきた。当初、全国組合は雇用されている塗装工しか受け入れなかったが、それでは塗装工が抱える問題に応えていなかった。塗装工は、自営業者として仕事を請け負う場合もあれば、大企業に雇われて仕事をする場合もあるからである。現在、塗装工組合は、以前より寛容な態度をとるようになり、自営業者向け失業保険基金も独自に設置している。

規模の大きな地方自治体職員組合は、協同組合貯蓄銀行Foreningssparbankenと協力して「起業」キャンペーンを始め、支援してきた。同貯蓄銀行は、期間10年で最高10万クローネの融資を提供している。組合は、起業した者が協同組合で働くのであれば、組合にとどまることを認め、サービスを提供している。

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