ブルーカラー労組、人材派遣事業者と協約締結

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年11月

9月1日、使用者団体(いずれもスウェーデン経営者連盟SAFに加盟)で構成されるALMEGAグループ傘下のサービス業協会と、スウェーデン労働組合総同盟(LO)に加盟する18のブルーカラー労組すべてが、他にあまり例のない協約を締結した。この協約は、人材派遣事業者160社から派遣される約7000人の労働者に適用される。

この協約の特異性は、LOは原則として民間の人材派遣事業に依然強く反対しているが、人材派遣事業者が現に存在し、1993年の許可後(1936年から92年まで法律で禁じられていた)、急成長している事実を受け入れざるをえなかった点にある。協約は2000年10月15日に発効し、2002年10月31日まで有効である。ただし、それまでに関係労組が正式に合意する必要がある。

この新しい協約では、派遣労働者は派遣勤務中でなくても正規の賃金の85%が保障される。2年後には、雇用期間が最低6カ月あったことを条件に、この比率が90%に引き上げられる。派遣勤務中の派遣労働者の賃金などの労働条件は、派遣先企業の正社員と同一とされる。

その結果、スウェーデンにおける派遣労働者の労働条件は、大半の国よりよくなると思われる。この協約により人材派遣事業は、労働組合や政治家から公認された形になるため、使用者は大歓迎している。したがって、多くの人材派遣事業者が、これまでほとんど進出できなかった分野、特に公的部門(例えば医療分野)で成長することも容易になると予想される。

LOは疑いなく100%の賃金保障を求めたのであろうが、85%で妥協せざるをえなかった。小売業のホワイトカラー労組である商業俸給労働者組合(HTF)と使用者側が結んだ同様の協約では、勤務時間以外の事務員の賃金保障を75%としているからである。HTFの組合員は2001年の協約の再交渉時に間違いなく賃金保障率の引き上げを求めるであろう。なお現在、2万4000人が派遣会社に雇用されている。

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