南北の経済格差、さらに拡大

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年11月

英国の南北間の経済格差がさらに拡大していることが、オックスフォード経済予測研究所(OEF)の調査で明らかになった。2000年の経済成長率に関してOEFは、イングランド南東部(ロンドンを除く)は3.7%、イングランド東部・大ロンドンは3.6%であるのに対し、ウェストミッドランドは2.8%、イングランド北東部は2.7%と予測している。

OEFによれば、経済格差は、ブリストル水道とウォッシュ湾を結んだ線を境に生じており、この線の南・東が、北・西と比較して成長率が高い。なお、スコットランドとウェールズの成長率は、イングランド北部よりは高く、それぞれ2.9%と3.2%となっている。

格差を生みだしている最も大きな原因は、ポンド高ユーロ安による製造業部門の業績不振である。ミッドランドおよびイングランド北部は、南部や東部よりも製造業に依存している度合いが高い。たとえばイングランド南東部(ロンドンを除く)では、製造業は全雇用の12.4%を提供しているにすぎないが、ウェストミッドランドでは、雇用の22.5%を製造業に依存している。

OEFのアラン・ウィルソン氏は、3月に明らかにされた政府の公共支出計画が南北格差を悪化させたとし、「公共支出の緩和が為替相場を引き上げ、これに貿易部門は苦しんでいる」と、述べている。

政府は、こうした地方間の経済格差に関する批判をかわそうと、格差は地方(regions)間よりも一地方内の地域(areas)間での方が大きいと指摘してきたが、少なくとも今回の調査では、地方間の格差も同様に顕著であることが判明した。

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