地域別労働市場制度と労働法改正

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年11月

2001年から労働市場制度の地域別監督制度を実施

現在の「National Labour Research and Methodological Centre」(ハンガリー語で「Orszagos Munkaugyi Kutato es Modszertani Kozpont (OMKMK)」)の役割は、経済省管轄下の新しい全国レベル機関「雇用局」(ハンガリー語で「Foglalkoztatasi Hivatal」)に移管される。19カ所にある現行の郡レベル「労働市場局」を廃止し、2001年から7つの地域労働市場局が活動を開始する。

先ごろのハンガリー政府の決定に従い、雇用政策関連の任務が家族・社会問題省から経済省に移管される。雇用政策に関して、戦略的立案、Labour Market Foundationの監督、国際関係に関する職務が、経済省に新設される「雇用政策課」の所管となる。

National Labour Research and Methodological Centre」も根本的に再編成される。同センターの新しい機能は労働市場制度の監督であり、名称も「雇用局」に変更される。今年「National Labour Research and Methodological Centre」に統合されたLabour Research Instituteは、経済省の他の研究機関に吸収・統合される。最新の失業統計は下表のとおりである(注:登録失業者数は、昨年3月から6万3000人減少し、2000年6月には37万3900人)。

ハンガリーの登録失業者(1999年6月および2000年6月)

失業者の特徴 1999年6月 2000年6月
登録失業者 394,371 373,952
新卒者 24,153 20,787
25歳未満 78,712 71,855
男性 212,300 199,033
女性 182,071 174,919
ブルーカラー労働者 326,009 308,222
ホワイトカラー労働者 68,362 65,730
未熟練労働者 192,855 184,581
大卒者 9,843 10,239

労働法改正案をめぐる議論が白熱

ハンガリー労働法改正案の目的は、使用者がより弾力的に労働時間を利用できるようにするとともに、雇用慣行における差別に関する制裁を強化することだった。法律専門家によれば、2000年の秋にハンガリー議会で承認される改正労働法は、欧州連合のガイドラインに従って実施される。改正案の影響を受けるのは以下の3分野である。

  1. 重要な従業員グループをレイオフする場合、使用者は従業員の利益を代表する組織に文書でその旨伝える義務を負うだけでなく、協約の締結に成功した場合法的手続きに従って実施しなければならない。
  2. 今後、雇用慣行における差別を回避するための制裁が強化される。例えば同等の仕事の場合、女子にも男子と同一の賃金を支払わなければならない。しかし、ヨーロッパの慣行に従い、差別が問題になった場合には、従業員ではなく使用者が差別していないことを証明しなければならない。
  3. 労働時間に関する慣行の弾力性を高める。修正案によれば、4カ月以内に週48時間労働制を実施しなければならない。ただし季節労働については、平均6カ月または12カ月以内に実施すればよい。この修正は、ハンガリーが欧州連合に統合されてから(現在の予想では2005年ごろ)実施される。

労働組合は最新版の改正案に抗議しており、首相に書簡を送って、ハンガリーの労使関係を取り扱う政労使三者構成機関であるNational Labour Councilでこの問題を取り上げるよう求めた。

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