1999年はストが急増

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年11月

1997年と98年は労使関係がきわめて落ち着いていたが、雇用省調査統計局(DARES)が発表した暫定統計によると、99年は賃金と労働時間という2つの問題をめぐって対立色の濃い年となったようである。すなわち、スト日数(労働損失日数)は1998年と比較すると42.9%増加し、94年の水準に達するとともに、90年代の年平均をやや上回った。スト参加率も対象企業の従業員の30%に達し、前年を2ポイント上回った。

事業所規模別で見ると、大半の紛争は、中規模事業所と大規模事業所で発生しており、小規模事業所はおおむね免れている。発表された統計によると、紛争の42.3%が従業員500人以上の事業所、42.8%が従業員100~499人の事業所と関係しており、従業員50~99人の8.7%および従業員50人未満の6.2%を断然引き離している。

産業別の場合、国鉄(SNCF)での紛争件数の増加によって、輸送業が大差のトップ(月平均労働損失日数1万1940日)に立ち、その後に化学・ゴム・プラスチック(3132日)と金属(2959日)が続いており、これらだけで昨年の労働損失日数全体の43.9%を占めることになった。しかし、対立的な状況は、農業・食品(1615日)、電機・電子器具(1988日)、保健・社会活動(1204日)も無縁ではなかった。

地域別では、イル・ド・フランスの労働損失日数が最高を記録し(月平均4494日)、ノール・パ・ド・カレ(3663日)、ロレーヌ(3549日)がこれに続いた。一方、例年対立が目立つローヌ・アルプ地域は、昨年はいくぶん静かだったといえる(2810日)。

ところで、紛争の発生における組合間の比重の違いはほとんどなく、複数の組合が同時的に開始する紛争が、全体の40%を占めている。ただ、1組合だけが行動を起こす場合、CGTは29%でイニシアチブを握っており、CFDTの9%、FOの3%をはるかに上回っている。

1999年に目新しかった点は、週35時間制交渉によって引き起こされた紛争件数の増加である。たとえば、第1位の賃金要求と関連する紛争はわずかに減少した(1998年30%、99年28%)が、第2位の労働時間短縮と関連する紛争は98年の12%から99年の25%へと急進している。その他の紛争原因も、雇用が20%へ、労働条件が15%へ、そして権利問題が12%へそれぞれ減少している。

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