公立学校、4万2000人の教員不足

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年11月

アンドリュー・ゴンザレス教育文化スポーツ大臣は、公立学校において4万2000人の教員が不足していることを明らかにした。

ゴンザレス大臣は、この原因に私立高校の減少を挙げ、かつて60%を占めた私立高校生の比率は、現在は24%に低下し、このため国内の公立高校の志望者が増加し、500万人を超える高校生の76%は現在公立高校で学び、この結果教員不足と教室不足の問題が生じたと分析した。

また、ゴンザレス大臣は、この問題の一部は教員の不均衡な配置に起因し、教育文化スポーツ省(DECS)が、教員が不足している学校に余っている地域の教員を再配置することにより不均衡を改善しようと試みていると説明した。

しかし、多くの教員はこれを拒否している。ゴンザレス大臣は、教員が転勤に応じるよう説得しなければならないが、教員に関する現行法では、当該教員が同意しないかぎり転勤させることができないと語った。

教員不足の問題を緩和するためにゴンザレス大臣は、会計検査委員会が地方政府の財源で地方の教員を雇用することをDECSに許可した。これにより地方政府は、中央政府が地方政府の社会福祉、保健衛生事業に交付していた財源の一部分を地方の教員の給与の支払いに使用できる。ゴンザレス大臣は、教室も少なくとも2万4000室、机も200万個不足していると述べた。

ゴンザレス大臣は、エストラーダ政権において、DECSの政策の重点を高校教育の改善におかなければならないと強調し、2001年の DECSの予算は、議会が減額しなければ1050億ペソになるが、このうち950億ペソが教員の給与にあてられると説明した。予算のわずかな部分のみが創造的な事業に使用される現状を述べ、DECSは、省の新しい取組みや革新的事業、貧困層の生徒に対する援助を個人の寄付に頼っていると付け加えた。

政府は、世界銀行と日本政府から部分的援助を受け、総額160億ペソの第3期初等教育計画(TEEP)を実施している。TEEPは、教育に対する新規事業として、教員の再教育と3900教室の増設を計画している。

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