難航する政府系3銀行の賃金交渉

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年10月

経営状態が悪化していた政府系3銀行、ユナイテッド・インド(UBI)、ユナイテッド・コマーシャル(UCO)、インディアンの賃金交渉が難航している。

インド銀行協会(IBA)とこの3銀行の経営者側は、資金不足を理由に、労使賃金協定の実施の3年間の据え置きを労組側に通知していた。

2000年3月27日、IBAと行員労組間で取り決められた遡及賃金の支給も、3行では保留にされた。労使間の交渉で3行の経営状況が、賃金改定による新たな負担に耐えられないと判断されたからである。1999年12月の労使による取り決めでは経営者側は、それぞれの銀行に適した方法により、賃金支払いの再計画を各労組と交渉し、賃金支給計画を2000年6月26日までの3カ月間に作成するよう求められていた。

しかし、労働者側は、遡及賃金問題に対し、銀行が賃金改定の完全実施によって解決するよう強く要請した。合計で約10万人近くの行員にとって大きな恩恵となるからである。

IBAの情報によると、遡及賃金に関する支給計画の再協議は、労働者側、経営者側、IBAの3者間でもたれてきた。労組は、経営者側が支払いを猶予する提案を積極的に議題にのせていると非難した。労組はすでにいくつかの銀行が遡及賃金の支払計画を完成したため、経営者側に行き詰まりを打開するよう強く求めた。

労組の代表は、1999年3月に管理職労組と IBA間で決められた賃金協定が今もって実施されていないため、不満は3行の管理職労組からも出ていると指摘し、「労組側は、すべての政党が関心を寄せていることを IBAに示峻した。すべての賃金協定は、完全実施すべきである」と述べた。また、中央政府に対し、3行の賃金改定協定の実施を支持するよう要求した。

しかし、それでもこれらの3行は、経営悪化を理由に賃金改定の実施を拒否し、交渉はほとんど進展しなかった。このため、労組は、一連の賃金改定の遅れに対し、行動を起こすことを検討し始めた。

さらに、労組は、最近、銀行の決算状況をもとに経営者側を非難し始めた。

3行の経営者側は、2年後、十分な利益が上がった後、遡及賃金の支給を考えると説明していた。しかし、UBIとUCOの2行は、利益が上がったと報告され、特に、UBIは、過去3年間利益を控えめに公表してきたことが、最近明らかになった。UCOは、過去11年間で初めて利益が出た。しかし、3行は利益が上がったにもかかわらず、凍結賃金を解除しなかった。労組は、この経営者側の態度が、労使の協調により賃金凍結を実施するという双務的な条件とかけ離れていたため抗議行動を開始した。

労組は、2000年7月5日カルカッタで会議を開き、中央政府に賃金凍結の条件を緩和するよう強く働きかける行動計画を決議すると発表した。

中央政府は、事態を収拾するため3行の経営者側に対し、2000年7月1日より一般行員と管理職に対する賃金改定を実行するよう求めた。

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