IT技術者へのグリーン・カードに関する省令成立

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年10月

シュレーダー政権の懸案のひとつである IT専門家へのグリーン・カード(労働許可証)付与を規定する省令(内務省令および労働社会省令)が、2000年7月14日に連邦参議院で可決・成立し、8月1日から施行されることになった。

IT専門家導入については、ドイツ国内での職業教育訓練等による養成の必要が主張されながらも、特に米国との格差を縮めるために、シュレーダー首相の提言以来各方面で論議され、政府と産業界の間でも一応2万人導入という線で合意が成立し(本誌2000年6月号参照)、その後導入の要件について、先の合意に即して立案作業の詰めが進んでいた。そして今回の省令成立で、要件が具体的に整備されることになった。

省令で規定された労働許可の要件の主な内容は以下の通りである。

(1)資格要件

  • 情報技術分野での大学または専門大学を終了した者。
  • 使用者との契約によって年間報酬が少なくとも10万マルクとなることにより、情報通信技術分野での能力が証明される者。

(2)雇用職種

  • システム、インターネット、およびネットワークの専門家。
  • ソフトウェアおよびマルチメディアの開発専門家、およびプログラマー。
  • 電算機回路および情報技術システムの開発専門家。
  • 情報技術専門コンサルタント。

(3)ドイツの大学卒業者

大学または専門大学で情報通信技術の学習との関連でドイツ国内に滞在し、卒業後上記職種につこうとする外国人。

(4)労働許可数の上限

最初の労働許可数は1万人とし、さらに需要がある場合は最高2万人までの増加を可能とする。

(5)労働許可の申請と有効期間

  • 最初の労働許可の申請は、2003年7月31日までとする。
  • 労働許可は、雇用期間に対応して、最長5年間に限り発給する。

(6)手続き

労働許可の発給につき、公共職業安定所は、原則として申請から1週間で決定する。

今回の省令の成立で、2月以来かまびすしく論議されてきたグリーン・カード問題に一応の決着がつくことになり、今後はこの論議の過程で再燃した外国人一般のドイツへの導入に関する移民法の改正に焦点が移行することになる。

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