台湾政府、重ねてフィリピン人労働者の入国制限を発表

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年9月

2000年6月1日、台湾政府は、フィリピン労働者の雇用を3カ月間禁止すると発表した。台湾の労働問題審議会(CLA)では、今回の雇用禁止を解除するか続行するかは今後の会議で話し合われるとしている。フィリピン人労働者は、かつて台湾での海外労働者の首位を占めていたが、台湾政府高官は、今後3カ月間、主要製造業、ハイテク産業、公共事業で雇用されなくなると語った。

しかし、フィリピン側の就職斡旋機関団体は、労働者の台湾への送り出しは、禁止宣言にもかかわらず実際は停止されないと予想し、フィリピン労働者台湾派遣局(Pilmat)ベラ局長は、「フィリピン人材派遣会社は派遣業務を継続し、台湾の使用者からの求人は存在し続ける。雇用の凍結には、メイドや管理人は含まれない。海外のフィリピン人労働者は、2000年6月1日の雇用禁止令実施に先立ち、現在の仕事を解雇させられてもいないし、発表後も1人も不当に本国に送還されていない」と述べた。

現在2国間には正式な外交関係がないため、フィリピン政府は、台北に「マニラ経済文化事務所(Meco)」を置き外交代行事務所としている。ロドルホ・レヤス事務所長は、2000年6月1日の会議でPilmatの高官に、雇用禁止はチェン・チュ新CLA委員長によっても繰り返されていることを通知し、また、「フィリピン人労働者雇用禁止決定は、前政権によってなされたものである。台湾の使用者が、フィリピン人労働者の専門的技術と経験を求めているため雇用禁止効果を軽視している。米国にコンピューター部品を供給している企業を中心に、多くの台湾の企業は、英語を使用できコンピューター用語を理解できるフィリピン人労働者を求めている」と現状を報告している。

また、ラグエスマ労働大臣は、CLAにより提起されたこの問題は解決できると楽観的に述べた。

2国間の一般的に良好な関係は、1996年の航空協定が昨年終了して以来、厳しいものとなったとみられているが、その後の交渉も新協定が成立するまでには至っていない。レヤス事務所長は、この問題についてフィリピン政府は、2000年6月初旬に経済調整委員会で協議する予定であると述べた。このため、「フィリピン人労働者は、国際政治抗争の矢面に立たされている」と国内では報道されている。雇用労働省の官僚は、雇用禁止は、航空問題の報復であるという意見を否定しているが、チン・フンマオ外相は、フィリピン人労働者の雇用を制限しているのは、フィリピン政府が航空問題に妥協して契約するための圧力であることを暗示し、「2国間の双務的な関係は、相互に有益なものでなければならない」と語った。

一方、CLA高官のリュウ・シンタイ副部長は、フィリピン政府の海外労働者派遣政策について言及し、台湾の使用者と就職斡旋業者に関するブラック・リストが雇用禁止の原因であり、フィリピン人労働者の高い職場離脱率、台湾の使用者とフィリピン人労働者の労働関係へのフィリピン政府の介入についても非難し、フィリピン人労働者の雇用禁止により、非フィリピン人労働者がすでに雇用され始めていることを明らかにした。

台湾で最も大きなコンピューター会社の一つアセルは、現在700人のフィリピン人労働者を使用しているが、ある経営幹部は、「フィリピン人労働者は、英語の語学力に優れ、アセルの工場労働者の中では最も有能な労働者である」と述べながらも、フィリピン人労働者に代わって他の東南アジアから労働者を募集し始めたことを明らかにした。

なお、フィリピン人労働者は、台湾で年間約10億ドルの所得を得ていると見積もられている。

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