IFBWW、フィリピンの建設労働者保護を要請
国際建設・林産労組連盟(IFBWW)は、フィリピンでは、毎月少なくとも5人の建設作業員が労災事故で死亡し、170万人の建設作業員が、安全装置のない危険な労働環境に置かれていると批判し、建設労働者は、労働者の中でとりわけ搾取されており、多くは臨時雇用で働き、低賃金に押さえられていると指摘した。
IFBWWは、産業別の国際労働組織(ITS)の一つで、124カ国の281労組(1100万人の労働者)が加盟しており、フィリピンでは5団体が加盟している。
IFBWWは、雇用労働省労働条件局の1999年1月から9月までの記録を基に、建設労働者は作業中毎月少なくとも5人は死亡していると見積もった。IFBWWの教育部のトレンチノ氏は、1997年、マカティ市を中心に首都圏で多くの死傷者が出たことを特に例として挙げ、政府が採った措置はビル建設を停止しただけで、これらの死亡事故後、建設業者や請負業者は、罰則から簡単に逃れられたと批判した。
このような高い事故率にもかかわらず、多くのフィリピン人は、他の仕事に就くのが困難なため、建設業に従事している。マニラ市では、建設労働者は、重労働にもかかわらず1日225ペソ(1ペソ=2.41円)支払われるだけで、社会保障は全くない。建設労働者は、使用者側と契約書も交わしていないため雇用は不安定で、多くは、平均6カ月単位で雇用されている。
IFBWWは、使用者が、安全に就労できるよう建設労働者に業務と設備を提供することを政府に要求し、労働者を災害から守ることを目指した雇用労働省令第13号の安全条項、もしくは、建設業における労働安全と健康管理の指針を徹底して実施させるよう要求した。上院に対してもILOの第167号条約を批准するよう働きかけている。
トレンチノ氏は、「建設労働者の就労環境は、省令13号が発令されたあとも何も変わっていない」と指摘し、省令を厳しく施行し監督する機関がないので、労働者が危険な状態にさらされ続けていると付け加えた。もし政府がこの実態を無視しつづければ、1970年にフィリピン映画センターで起きたような建設現場での事故が再び起こると警告した。この事故では、多くの労働者が死亡したにもかかわらず、事故原因の調査は行われず、犠牲者の家族への損害賠償も未だに行われていない。
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