約200万人にまで減少した児童労働者

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年9月

労働・傷病兵・社会問題省(MoLISA)傘下の労働科学・社会問題研究所(ILSSA)の調査によれば、過去数年の間に児童労働者数は顕著に減少した。しかし、就労児童の比率は依然として高く、児童人口の約9%あるいは200万人近くが働いている。ILSSAの調査によると1993年の児童労働者数は600万人であった。現在、15歳未満の児童は2200万人(総人口の28.9%に当たる)おり、法律によって就労を禁じられている。しかし、児童の多くが、靴磨き、メイド、パン販売人、炭鉱労働者、性風俗労働者などとして働いている。政府は、この問題を公式に認め、諸国際機関と協力して児童労働問題の解決を目指している。中央政府は、2002年までに児童労働をなくすという行動計画を1999年に作成している。

ILSSAの調査によれば、児童労働者の3分の1が危険な労働環境の中で働いており、時間外労働を行っている。また大部分の児童労働者は、貧困率の高い農村山岳地域で働いている。同調査によれば、全国の児童労働者の4分の3が農業部門に従事しており、工業部門15%、サービス部門5%、建設業2.5%、運送業2.5%と続いている。

これらの児童の多くは、1日当たり4時間から7時間働いており、その月収の分布は、14万4000ドン(100ドン=0.77円)未満が19.2%、14万4000ドン以上20万ドン未満が18.5%、20万ドン以上30万ドン未満が29.0%、30万ドン以上が33.3%となっている。

児童の中には、親切な家庭でメイドとして働き、夕方の授業に出ていくらか教育を受ける機会を得る者もいる。しかし、教育の機会を失う児童が多く、ほとんどが将来設計がないまま、その日暮らしを続けている。もし彼らが働くのをやめれば、ほとんどの場合、衣食および教育の機会を与えてやることはできないと、両親から言われるであろう。

児童労働問題は、ベトナム特有の問題ではない。国際労働機関(ILO)は、全世界の5歳から14歳の児童のうち約2億5000万人(全児童の24.7%)が働いていると推計している。このうち1億2000万人が常勤で働いており、児童労働者の半分以上が男性である。また全世界の児童労働者のうち、アジア人が61%、アフリカ人が32%、中南米および北米人が7%である。ILOはまた、児童労働者が1日平均9時間の労働を週7日行っても、平均すると、同じ仕事を同じ時間帯に行う成人労働者の6分の1の報酬しか得ていないと結論づけている。

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