国家人口委員会が設立される

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年8月

中央政府は、人口増加の抑制を目的に、国家人口委員会(NPC)を設立すると発表した。この委員会は、バジパイ首相を委員長とし、国家計画委員会の K.C. パント副委員長ら関係閣僚等100人の委員から構成される。バジパイ首相は、「インドの人口は10億を超えた。これは重大な問題で、経済、自然環境、資源にとって大きな負担になり、人口増加のゆくえと人口安定化の方法について熟考しなければならない」と強調した。

NPC副委員長に任命されたパント氏は、次のように説明した。

委員にはNGOの代表者、社会学者、各研究機関の代表者も選出される予定である。死亡率と出生率を早急に低下させるために、まず、アンドラプラデシュ州、ラジャスタン州、マドヤプラデシュ州、ビハール州で、避妊具の入手方法を改善し、家族福祉サービスを向上させる政策を実施する。これらの州の実施結果を、全国の人口安定化政策立案において、人口の規模と事業計画決定に重要な資料とする。

パント副委員長は、委員会に与えられる政府からの委託条件には、国家人口政策の実施に対する検査、監視、指導も含めねばならないと主張した。具体的な国家的人口抑制計画は、次のとおりである。人口の安定化の早期実現を図るために、人口統計学、教育、環境、開発事業部門の共同作用を促進する、中央・地方政府間の事業計画と実施において官庁間の調整を促進する、市民社会、民間部門の協力を図る、政策実現を促進するために国際的な協力を得るよう努力する、この国家的努力を支持するために積極的な国民運動を展開するよう促進する。

特に、パント副委員長は、委員会は家族福祉事業が資金不足に陥らないよう段階的に政策を実行すべきだと強調し、財政問題と関連づけて次のように説明した。家族福祉部門のための支出額は、第8次5カ年計画期間の650億ルピーから第9次5カ年計画期間には、1512億ルピーに増額された。中央政府は、基本的行政サービスに対する援助も増額しており、各州は基本的な健康管理、衛生、初等教育等に対する地方間の大きな相違を解消するために資金を提供されているし、2000年度においては、地方交通の改良のために250億ルピーが費やされる。これらの事業が効果的に実施されれば、第9次5カ年計画は、人口増加率の変化と国民の健康状態の改善の速度を加速させる起点となりうる。

最後に、パント副委員長は、加速度的変化が第9次5カ年計画の間維持されれば、インドは2010年までに人口増加の転換期を迎え、この時の人口は11億700万人になると予想されるとし、これが成し遂げられれば、インドの人口は2045年までに安定すると述べた。

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