ハンガリー/失業の減少

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年8月

従業員にとっての安定雇用の全般的重要性

企業レベルの労使関係に関する最新調査によると、「雇用と労働市場政策」が「社会保険と福祉」とともに、労働組合が介入対象とするマクロレベルの最重要分野である。「教育政策」「環境保護」「生産性」問題への関与は重要性が下がり、「地域軍事紛争の解決」(例えば、前ユーゴスラビアにおけるコソボのような)に関しては労働組合に求められる社会責任としては最も程度が低い。

労働市場2000年への備え:失業の削減

1999年の失業者登録数は、1年前(1998年)と同じであるが、これは40万4000人が職を見つけられなかったことを意味する。国立労働リサーチ・メソドロジー・センター(ハンガリー語でOrszagos Munkaugyi Kutato es Modszertani Kozpont: OMKMK)の最新予測によれば、2000年上半期に失業者数は2.5~3万人減少し、6月末には、失業者人口は、38万人前後になるだろうとされている。

1998年下半期には、企業の37%において従業員が増加し、28%の企業で従業員数が減少した。労働需要は、製造部門において特に強く、ほぼ2社に1社が雇用水準を上げ、雇用水準を下げたのは4社に1社にすぎない。建設業を営む企業では、雇用水準が40%上昇した。しかし、農業部門に属する経営組織の労働市場指数は低下した。国立労働リサーチ・メソドロジー・センターの調査によって、以下の現象に注意が促がされた。雇用の大多数は、小企業が創出したものである。1998年を例にとれば、従業員300人規模のカテゴリーに属する企業の40%は従業員数を減らしたが、従業員50人以下の企業で従業員数を減らしたのは、その5分の1にすぎなかった。

ハンガリー国内の各地域を比較すると、以下のような傾向がわかるだろう。2年前には主に中央ハンガリーとドナウ川以西の地域で従業員数が増加し、他の地域では緩やかな雇用減少が記録された。この数年、ますます多くの使用者が、「期限付雇用契約」「下請形態の雇用」「契約雇用」等のさらに安価な雇用形態を利用するようになっている。こうした少ない費用ですむ形態の雇用契約は約50万人にかかわり、その3分の2近くは何の資格もない労働者である。こうした雇用形態は、主に小企業で普及しているが、製造業部門においては最大規模の企業でさえ「期限付労働契約制」の形態でのみ雇用を行っている。1999年を例に取れば、雇用打ち切りの理由の3分の1以上が「期限付雇用契約の満了」である。1999年の以下のような人材管理慣行に注目する必要がある。大多数の企業の経営者側は、人員の配置転換を行う代わりに、人員解雇という方法を選択した。農業、製造業、商業部門では、経営者はレイオフや早期退職の手段を用いて、人員の半分以上の削減を行った。余剰人員問題の解決を、職業訓練や再訓練などの手段に頼った企業は非常に少なかった。

昨年1年間に人手不足問題を抱える企業の数は、わずかに上昇している。

労働市場エコノミストは、2000年上半期には労働需要は伸びるだろうとの意見を述べている。これに関連して、未熟練ブルーカラー(肉体)労働者に対する人員不足があることに注目すると興味深い。例えば、ハンガリーの首都においては、1年以上失業というカテゴリーにある人々の50%は、病気あるいはアルコール依存症のせいで職探しをしていない。

労働市場状況によれば、企業組織は若い初心者の採用を控えるであろうし、その中でも経営者が好んで採用するのは、未熟練労働者もしくは若い熟練労働者である。零細企業は、採用人員を増やす予定である。2000年においては、「期限付雇用契約」を選択し利用する企業数が増えるだろう。

最後にハンガリー議会は、1999年12月21日以降雇用法を改正しており、2段階に分けて実施される予定である。2000年2月1日以降、失業給付金の給付期間は、12カ月から9カ月に短縮される予定である。この9カ月の失業給付期間は、当該失業者が該当期間の最初の6カ月以内に職業訓練コースに通い始めていたなら延長しなければならず、当該学習期間中(最長1年間)は、当該失業者は失業給付金を受給できる。また、もし失業者が9カ月経っても仕事を見つけることができない場合は、地元役所が当該失業者に「公的仕事」を与える責任を負う。この公的仕事に従事した後、当該失業者は、年金最小限度額の70%(1万1000HFU、6000円余り)に当たる「社会援助」の受給資格を得る。

当該失業者が200日間雇用された場合は、当該失業者は、再び合法的に失業給付金受給資格を獲得する。

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