サンロクエ・ダム建設の安全性に関し労使が衝突

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年8月

総工事費500億ペソ(1ペソ=2.45円)の巨大プロジェクト、サンロクエ・ダム建設の安全性に関し労使が衝突し、社会問題化している。

この問題は、ダムの安全性に対し疑問を表明した労働者が解雇されたことから始まった。解雇された33人の労働者は、多くは品質保証と品質管理(QA/QC)部門で働いていたが、雇用の終了の原因は、現場の過剰人員にあるのではなく、発電量345メガワットのダム建設に使用された材料の試験結果だという極めて重要な問題を表明した。労働者は、このプロジェクトの専任監督者への手紙に次のように記載した、「もし、我々が、この問題を無視し、使用者に我々の雇用終了を許せば、彼らは、ダム建設において彼らがしたいことを自由にするだろう」、「もし、我々の危惧が現実のものとなれば、パンガシナン州と近隣の州は完全に影響を受ける。この建設工事では低品質のダムになり、住民はこの種のプロジェクトにより生命を犠牲にするだろう」。

サンロクエ電力株式会社のパトリック・マクアリスター事業本部長は、この批判に対し即座に反撃し、建設業者は、品質保証と品質管理を決して手抜きしていないと発表し、「品質管理の問題は、妥協できるものではない。わが社は、サンロクエダムは最も高い国際的工学技術と建設基準に合うよう設計され、建設されていることを保証する」と記者会見で述べた。また、国家電力株式会社、ロイセオンエバスコオーバーシィー有限会社等からの代表者により組織された事実調査チームが組織されたことも明らかにした。

解雇させられた労働者は、多くはパンガシナン州出身で、解雇時、契約業者になぜ彼らは解雇させられたのか理由を求めた。パンガナン州出身の特定の労働者は、建設工事の期間中は、雇用の優先権を与えられるということがダム計画の初期に同意されていた。

これに対し、マクアリスター事業本部長は、QA/QC部門は10人の労働者を解雇したが、他の部門のそれ以上の労働者が、契約期間の終了と今後の彼らの労働に対する需要がないという理由で解雇されたと説明している。

2000年5月4日、この33人の労働者に加え、このダム建設事業で解雇された他の100人を越す労働者、サンマニュエル地方やパンガシナン地方の約1000人の住民が集合し、ダム工事現場の入口でピケを張った。

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