失業率が上昇

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年8月

国家統計局の発表によると、2000年1月の失業率は9.3%になり、1999年1月の9.0%より0.3%上昇し、失業者数は295万人に増加した。

労働者数は1999年比68万人増加し、一方、2000年1月、52万7000人が就職した。これは、1999年に生じた106万8000人の職の半数に達している。この52万7000人の大部分が賃金労働者で、28万3000人(2.0%)増加し、全体で1390万人から1420万人に増加した。自営の労働者もまた19万3000人(1.8%)増加し、賃金のない家族従業員も5万1000人(1.3%)増加した。この結果、2000年1月に雇用が1.9%、52万7000人増加したにもかかわらず、雇用率は、1999年の91.0%から90.7%に減少した。国家統計局は、「これは、被雇用者数の増加が、労働人口の増加に追いつかなかったためである」と説明している。

主要地域の失業率は、マニラ首都圏16.2%、中央ルソン地方10.2%、南部タガログ地方10.5%、中央ビサヤス地方10.1%である。

ラグエスマ労働大臣は、失業率の上昇について、国家統計局の数値は十分な根拠がないと反論し、新卒者が就職できるよう、すでに解決策が打ち出されたと説明した。また、経済回復により年末までに新規労働者は就職できると予想している。ラグエスマ労働大臣は、明るい雇用見通しに寄与する要素に、公共職業紹介業務(PESOs)の制度化と全国的職業紹介システムの実施を挙げている。1999年、PESOsは、47万6585人の求職者を就職させたが、そのうち、35万8675人が定職についた。2000年の最初の2カ月間に、PESOsは、全国で11万6879人の求人をした。

調査の他の内容によると、主婦、学生、身体障害者、定年退職者のように就職していない人は3.3%増加し、1年前の1660万人から、2000年1月は1710万人になった。15歳以上人口の労働参加率は、1999年1月の65.3%からやや下降し2000年1月には65.1%になった。業種別では、サービス業が最も新卒の労働者を吸収し、賃金労働者は、1999年1月で1260万人が2000年1月には1310万人になった。農業労働者も増加傾向にある。自営業者も賃金労働者もともに増加している。

地域的に特に失業が心配される地域は、南部ミンダナオ地方である。政府とモロ・イスラム解放戦線(MILF)間で断続的に戦闘が続いており、このため、労働力の削減が起こっていると地方労働事務所は危惧している。

マヌエル・ロルダン地方労働事務所長は、戦闘が長引けば、閉鎖または縮小操業する会社が続出し、この地域に高い失業率をもたらすと憂慮し、どれくらいの職が戦争によって影響を受けたか予測するのは難しいと述べるとともに、商工省の報告をもとに、旅行業、運輸機関、商業、プランテーション関係の事業は、軍事衝突により間接的に被害を受けたと説明した。

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