台湾、海外労働者の入国を制限

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年8月

台湾政府は、2000年5月10日、フィリピン政府の海外労働者問題への取り組みを不満とし、主要製造業と建設業でフィリピンからの労働者の入国を2000年6月1日より凍結すると発表した。

労働問題審議会(CLA)就労許可部リュウ・ハシンカイ副部長は、この問題を最近の台湾―フィリピン間の航空問題とは関係がないとし、「フィリピンが、台湾の国内問題に不合理な介入をした時点から、台湾は行動を起こすことを余儀なくされた」と強調した。

この航空問題というのは、次の内容をさしている。1996年に取り決められた台湾―フィリピン間の航空協定が1999年10月に終了した。それまで、台湾航空の週17便に対し、フィリピン航空は週4便だった。フィリピン側は、かねてよりこれに不満を抱いており、増便を要求したが交渉はまとまらず、2国間の直通便は、1999年10月より4カ月間停止された。台湾は、フィリピンが運行人員増加計画を主張すれば、フィリピンからの労働者の入国を禁止すると主張していた。

2000年6月1日より、製造業と土木事業での就労許可が下りないと発表されたが、介護ヘルパーとメイドは除外している。

CLAは、フィリピン政府は、使用者と人材斡旋業者に対しブラックリスト・システムを採用し、そのため、多くのフィリピン労働者は台湾では、仕事から逃げていると非難し、意見書をフィリピン政府の海外雇用庁と台北―マニラ経済協力協議会に持ち込んだ。しかし、フィリピン政府はこれに回答しなかった。また、フィリピン政府関係者が、フィリピン労働者と台湾の使用者間の衝突に理由もなしにしばしば介入してくることに強い不満を抱いている。

CLAは、今後のフィリピン政府の対応により、労働者の入国を完全に禁止するか、あるいは、入国制限を延長するかを決定すると発表し、その理由として、フィリピン労働者を雇用している地方企業の不満の増加により、CLAはこうした政策を採用せざるえなくなったと説明している。

CLAで外国人労働者を管理しているリン・ソンミン氏は、この決定がフィリピン政府に通知された後、フィリピン側は積極的に対処しているようには見えないと述べ、フィリピン政府が、フィリピン労働者に健康診断に問題があったときは、帰国後、使用者と斡旋業者を告訴するよう推奨していることも批判した。

なお、2000年3月末、台湾には30万1447人の海外労働者が存在し、うち37.4%、11万2859人がフィリピンからの入国者である。

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