就労者の48.8%は非合法

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年8月

サンパウロ州立データ処理財団と労組の研究機関DIEESEの共同研究によると、サンパウロ市の就労者の48.8%は正式登録しないで働いており、特に女性は非合法就労が52%、40歳以上になると53%に達した。10年前の非合法就労の平均は36.3%となっていた。非合法就労の増加は政府にとっては、源泉所得税納税の減少、社会保障制度の拠出者の減少となり、労組にとっては、組合員の減少、労組勢力の後退となる。

学歴が低く、技術を持たない労働者ほど非合法就労者が多くなっているが、正式雇用を要求することにより、自ら就職チャンスを少なくするおそれもある。また、労働者の間には税金、社会保障拠出金を控除されて手取給料が減少することを嫌う傾向も強くなっている。政府が、正式登録労働者と正直に申告する企業だけに毎年増税を行うことや、公務員以外は年金支給額が実質年々減少しているために、将来の年金支払いに疑問を持ち始めていることが、正式雇用にこだわらない傾向を強めている。

しかし、労組と政府にとっては重要問題であり、特に労組は深刻に受け止めて、中央労組CUTでは、正式登録しないと使用者側の暴力的行為に法的対抗手段がないこと、福祉厚生への道が閉ざされることなどを広く広報している。労組は、非公式労働の増加にどう対応するか、作戦をまだ明らかにしていないが、予想以上の規模で非公式就労が増大していくのか、計りかねている。労組としては、労組が独自に行う正式雇用の推進は、非常に小さな人数を公式化できるにすぎないと見ており、単に労組だけの問題ではないことを強調して、政府の積極的取り組みを促そうとしている。

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