優良船員選出に汚職疑惑
フィリピン政府の担当部門がフィリピン船員を国際海事機構(IMO)のホワイトリスト(優良船員)として選出するための必要条件認定に汚職疑惑が発覚し、国際的な問題になっている。フィリピンは世界に約28万人の船員を送り出し、これは世界の海員の20%を占めている。
IMOは、国連の専門機関の一つで、国際貿易に従事する船舶の技術的事項についての情報交換、海上安全、航行の効率化、海洋汚染防止等に取り組んでいる。IMOが発行するホワイトリストは、船員の受けた訓練と評価が、国際的な訓練と評価基準に達していることを意味する。IMOの資格なしでは、フィリピン人船員は、海外で雇用されることはない。IMOは、フィリピン当局のこの問題に関する報告書には「重要な問題」が残されている、としている。
また、調査団員の1人、国際船舶連盟のデーヴィド・ダースレイ副事務局長は、この問題に対し、マニラ市での公開討論会で次のように述べた。
フィリピン政府は、1995年のIMOの大会で決議された標準訓練、履修証明の発行等を実施する政府機関を1つに統一するという要求にまだ応じていない。フィリピンのような国では、訓練と技能の評価をする幾つかの機関があるが、これが問題の発生源になっており、それは2年前からすでに見られた。調査団は、フィリピン当局にまだ大きな疑惑を抱いており、有資格者が持っている問題が報告書の中で明確にされていないこと、行政の管理方法が、まだ詳細に調査されていないことを指摘している。ダースレイ副事務局長は、IMOは協議の結果、フィリピン人船員に対し2000年12月までホワイトリストの発表を延期することを決定したが、ホワイトリストに登録されなければ、フィリピン人船員は国際的信用を失うと述べた。一方、フィリピン側は、ホワイトリストが6月のIMO海事安全委員会の会議までに決定されるよう希望している。
ダースレイ副事務局長は、世界の海事産業は、フィリピン人船員が有能で信頼があるため必要とされていると認めながらも、「この世界的不況の中で、船主は不安定要素に敏感であり、フィリピンに与えられた時間はそう長くない」と語った。フィリピン政府は、IMOの要請に対し、1998年7月、1999年12月、2000年2月23日に合計3回報告書を提出したが、IMO委員会は、報告書が不十分なため3度とも返却し、問題の核心は、船員の訓練と訓練修了書を管理する組織が、船員管理委員会、技術教育・技能訓練局、高等教育委員会、船員訓練協議会とあまりに多いことにあると指摘している。
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