「メイド憲章」可決求め署名運動開始
メイドとメイドの権利擁護団体が、「メイド憲章」の早期可決を求めて、全国的な署名活動を展開し始めた。この「メイド憲章」は、1999年12月、カガヤンバレー地方選出のジャック・エンリレ国会議員が、メイドの労働を職業化する要求を、「Magna Carta for Household Helpers」として作成し、第8862法案として議会に提出したものである。
この運動は、虐待されているメイドの救済活動をしているNGOの「ビサヤン・フォーラム(VF)」が中心になって展開している。VF は、フィリピン・メイド協会と協力して署名活動を開始した。VF のセシリア・フロレス・オエバンダ議長は、署名はこの法案が議会で優先的に審議させるため大統領と議会に提出すると説明し、法案が2001年3月の全国・地方総選挙の準備作業が始まる前に、早急に議会で可決するよう運動を展開する予定で、この1週間だけで2万人の署名を集めたと発表した。
提案されている「メイド憲章」は全国の76万6000人のメイドに利益をもたらすという。
オエバンダ議長は、「メイド憲章」は使用者とメイドの両者の利益を保護する政策だと力説し、メイドの労働協定や労働契約は、労使間で書面によって行われることを義務づけ、メイドの肉体的、精神的適性を証明する診断書が、労働契約の必要条件となる。なお、診断に関する費用は、使用者側が負担する。「メイド憲章」は、基準最低賃金を、首都で月額1200ペソ(1ペソ=2.51円)、首都以外は地域によって1000ペソまたは900ペソと定め、社会保障の保険料は使用者側が負担するよう定めている。
また、「メイド憲章」は、使用者にメイドをフィリピン健康保険組合(PHIC)に加入させることを義務づけている。PHICは、加入者に無料の医療サービスを提供する保険組合である。労働時間については、1日の労働時間を10時間と定め、3回の食事の時間は労働時間から除外している。超過労働については、時間外手当が支払われることとし、週6日を超える労働は禁止している。年間有給休暇は、14日間と定めている。
2000年5月1日、約7000人のメイドが、クエゾン・メモリアル広場に集結し、労働者の中で最も搾取され非力な部門という地位に終止符を打つため大集会を行う。
エンリレ国会議員は、メイドたちにメーデーの日は自説を主張する最良の日だと説得した。このような大集会は、メイドにとって最初のもので、この運動は、「ビサヤン・フォーラム団体(VF)」として組織化される。
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