NTUC、業績ボーナスの公平性を訴える

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年5月

全国労働組合会議(NTUC)は、パフォーマンス(業績)・ボーナスの導入にあたり、労働者に対する報酬の公平性を確保するために使用者がとるべき基本措置をまとめた。パフォーマンス・ボーナスは、個々の従業員に動機づけを与える制度として注目されており、今後、広く導入されていくものと見られている。

NTUCが策定した基本措置は下記の通り。

  • 企業が従業員のパフォーマンスを査定するシステムは公平、堅固、透明でなければならない。
  • 管理職や監督者は評価を客観的に行う訓練を受けなければならない。
  • 同制度の導入にあたり、あらかじめ制度の仕組みに対する社内の理解を徹底しなければならない。
  • パフォーマンスを改善する方法を従業員に伝える会議を開かなければならない。
  • 労働者の安定的な収入が確保されなければならない。

NTUCがとくに懸念しているのは、パフォーマンス・ボーナスの導入により年収格差が発生・拡大することである。パフォーマンスのよい労働者のボーナスが例えば6カ月分で、パフォーマンスの悪い労働者のボーナスがゼロといったケースもおこりうる。こうした場合、動機づけを目的とした同制度がかえって労働者の労働意欲を減退させることになりかねない。

現在、パフォーマンス・ボーナスは労働組合のある保険会社35社のうち4社で採用されている。NTUCのヘン・チー・ハウ副書記長によると、今後多くの企業で導入がはかられる見通しである。パフォーマンス・ボーナスは、企業のパフォーマンスに基づいて全従業員に支給される通常の年末ボーナスに加えて支給される。

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