労働党政権誕生後のビクトリア州の労働政策の動向

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年5月

ビクトリア州では1999年に実施された総選挙で、ケネット州知事が率いる自由・国民党政権に代わり労働党政権(州知事はブラックス氏)が誕生した。

選挙期間中に労働党は州アワードや労使関係委員会の復活などを公約として掲げていたため、労使関係分野での大幅な見直しが行われると見られている。政権誕生後から現在までにいくつかの方針が示されているので、労使関係と労働災害の分野での動向を見てみたい。

労使関係分野に関しては、まずブラックス州知事は労使関係大臣を任命し、州務・地域開発省内に新たに労使関係局を設けることを表明した。

ケネット前政権は、州労使関係委員会を廃止し、労使関係に関する州の権限を連邦政府に委譲した。新たに誕生した労働党政権は、州労使関係委員会の復活と労使紛争に介入する権限を州政府に与えるための立法を検討していると伝えられている。

労災と安全衛生の分野では、業務上の故殺と職場における重過失傷害を、新たに犯罪とする刑法改正案が議会に提出される予定になっている。改正案は、職場での死亡・傷害事故に責任を有する者を罰する目的を持ち、企業に対し業務上の故殺の場合は最高500万豪ドル、後者の重過失傷害の場合は最高200万豪ドルの罰金が科される予定である。また管理職等にも刑事罰が科される。

これ以外に労災保険料の引き上げも検討課題となっており、産業界は懸念を表明している。

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