労組組織率が26%まで低下
―統計局が賃金や付加給付、労組組織率等に関する統計を公表

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年5月

オーストラリア統計局(ABS)は「賃金、付加給付、労組組織率」と題する統計結果を公表した。これによると1999年8月時点の15歳以上の雇用者総数は730万4200人で、週当たりの平均賃金は624豪ドル(1豪ドル=62.65円)であった。雇用者の半数が週552豪ドル未満の賃金となっている。

男女別に特徴を見ると、多くの女性は低い賃金を、そして男性はより高い賃金を得る傾向にあることがわかる。女性の約17%、男性の7%が週200豪ドル未満の賃金であるのに対し、週1500豪ドル以上の賃金を得ているのは女性雇用者の1%、男性雇用者の6%であった。ちなみに、男性の週平均賃金は737豪ドル、女性のそれは491豪ドルであった。

雇用者の74%がフルタイム労働者であり、フルタイム労働者の週平均賃金は755豪ドル、パートタイム労働者のそれは267豪ドルとなっている。

臨時雇用か常勤雇用かについては、雇用者のうちおよそ26%が臨時雇用であり、パートタイム労働者の65%、フルタイム労働者の11%が臨時雇用であった。また男性より女性の方が臨時労働者の割合が高く、週平均賃金に関しては常勤雇用より臨時雇用の方が低いことが特徴として指摘されている。

付加給付については、89%の雇用者が老齢退職年金、72%が有給休暇、72%が疾病休暇、61%が長期勤続休暇、の適用対象となっていた。老齢退職年金の適用対象者は1989年8月時点で48%にすぎなかった。これに対し、有給休暇と疾病休暇の対象者は1989年8月時点の数値に比較し減少している(前者が81%、後者が80%)。

労組組織率をめぐって

今回公表された統計では、労組組織率の推移も示されている。労組組織率は1986年に46%を記録していたが、その後低下し続け、1997年8月には30%、1998年8月には28%、そして1999年8月には26%にまで低下している。組合員数は190万人であり、常勤労働者の31%、臨時労働者の11%が組合に加入している。

この結果に対しオーストラリア労働組合評議会(ACTU)は、組織率低下は残念であるが、予想していなかったわけではないとしている。というのは経済環境の劇的な変化の中で、組織率が高い公共部門や製造業で人員削減が行われ、他方サービス業や IT 産業で雇用創出がなされているが、労組はこの分野での組織化に課題を抱えているためである。ACTU は世界的に競争が激化する中で、労組の役割がこれまで以上に重要になるとし、生活水準の向上、雇用保障、安全な職場、より良い賃金を求め闘うことが労組に課せられた使命であるとの姿勢を示している。

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