ILO、児童労働撲滅計画の作成を要請

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年5月

ソマビアILO事務局長は、2000年2月17日から21日までインドを訪問した。サタラナヤラン・ジャチヤ労働大臣との会談で、児童労働撲滅国際計画(IPEC)を2000年1月1日から2年間延長することに対し、ILOとインド政府間で合意の覚書に署名したことを再確認した。両者は、児童労働は、開発と複雑に関係した問題であり、それを生み出す社会の特殊性も様々であるという認識で合意した。

ソマビア事務局長は、国家の発展状況にかかわりなく、児童労働を早急に禁止するよう世界を結束させることは道義的に大きな進歩だと主張し、児童労働撲滅運動を全世界規模の運動に発展させる必要性を強調した。

ILOは、1999年6月17日、「最悪の形態の児童労働の禁止および廃絶のための即時行動に関する条約」(182号条約)を採択したが、既に9カ国が批准し、24カ国が近く批准する見込みである。ソマビア事務局長は、「児童労働の主な敵は、人口と低開発に付随するモラルの相違にある。我々の努力により撲滅できる」と語り、断片的な政策からより包括的な政策への変更が、インド政府によって既に開始されたと説明した。ILOの政府への一連の支援に関して、ソマビア事務局長は、どの国でもあらゆる部門において、幅広い協力による協調的な取り組みが実行されねばならないと述べた。

IPEC は、1991年12月、ILOによって開始された世界的なプログラムで、現在37カ国で活動が進められており、この他に約30カ国が何らかの形でプログラムの恩恵を受けている。資金援助国は19カ国に上っている。

インドにおけるIPECの展開状況を略説すると、インドは1992年5月、世界最初の加入国となった。

ILOは、インドで1992年から1997年までに、120の事業と68の小事業をIPECの事業として実施し、総額513万ドルを使用した。インド国内の100のNGO、5つの大規模労組、使用者団体、政府機間等がこれらの事業から恩恵を受けた。

この経験を基に、第2段階のIPEC事業として、1998年から1999年までの2年間の期間に432万ドルの予算規模の事業を実施した。この第2段階の特徴は、児童労働の危険性と搾取性に焦点を当て、7つの児童労働の多発地域を選択し、局地的なアプローチの事業計画を打ち立てたことである。これは、インド中央政府児童労働撲滅事業として実施された。IPECのインドにおける2000年の事業計画の主な内容は以下の通りである。

  1. ILO第182号条約を批准し、第190号勧告(最悪の形態の児童労働の禁止および廃絶のための即時行動に関する勧告)を適用する。
  2. 多数の小規模的行動計画を整理統合し、限定的な数の、大きな影響を起こしうる行動計画にする。
  3. 児童労働に対し、州別アプローチを採択、実施するために、各地方の資金を結集させる。
  4. 戦略的協力者の能力を持続的に向上させる。
  5. 労働組合や使用者団体による特別の活動を支援する。
  6. NGOによる児童労働更正のための直接的支援を統合・強化する。
  7. インドの SAAT(ILO南アジア・マルチディシプリナリー・アドバイザリーチーム)、

国連組織、世銀及び他の国際金融機関と協力する。

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