BHP社で労使対立が続く

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年4月

前号でお伝えしたように、BHP社ではピルバラ地区での個別雇用契約導入をめぐり労使対立が続き、それが他部門に拡大する様相を見せている。労組は、労組が当事者となる認証協定に残りたいと考えている組合員を支援するためにストライキを実施するなどして、同社に個別雇用契約導入の断念を迫っている。ただ職場関係法では「同情スト」は違法となるため、同社はピルバラ地区以外のストを違法として訴訟を提起する姿勢を示している。

同社は同社の炭鉱や製鋼等の事業所では個別雇用契約を導入することはないと確約しているが、この確約を信じる労組員はほとんどいない。というのは、BHP社は、1999年12月に競争激化を理由に炭鉱部門における職場組織の弾力化を求める通知を行っている。ピルバラ地区で働く労働者に対しては12月31日までに個別契約に署名すればボーナスを提供するなどの措置を取ったためである。同社によると、1999年末までにこの申出を受けた者は500名を超えるという。

労組の対応

オーストラリア労働組合評議会(ACTU)は事態を深刻に受けとめており、2000年1月に大規模ストが計画されているとの報道がなされた。これによると、少なくとも6つの主要労組がBHP社の炭鉱、石油、輸送、鉄鋼等の事業所でストライキを実施することになっていた。このような争議行為は明らかに違法であるし、政府との衝突は必至である。

1999年12月22日にはBHP社の鉄鋼部門の労働者1700名が24時間ストを実施し、他の地区の事業所でもスト実施が合意された。

新年を迎え、ポート・ケンブラやビクトリア州にあるBHP社製鋼工場で働く労働者が24時間スト実施に合意した。労組は結果がどのようであろうともストを継続し、州や連邦の労使関係委員会が職場復帰命令を出しても無視する方針を明確にしていた。BHP社はポート・ケンブラのストを阻止するためNSW州労使関係委員会の命令を求めた。同委員会は労組にストライキを3カ月間控えるよう命じた。労組はこれを無視し、結局ストライキは実施された。ストによる被害額は300万豪ドル(1豪ドル=64.85円)に達すると予想されている。

BHP社は、連邦労使関係委員会に対しても組合財産のの差し押さえや罰金などを含むスト禁止命令を求めた。同時に同社は労組指導部と協議を行い、2000年1月16日以降ストを行わないことで合意に達した。これを受けて連邦労使関係委員会は1月20日以降のストは違法となるとの命令を出した。

しかしながら事態はさらに悪化し、BHP社のいくつかの事業所では1月20日以降のスト実施が合意された。これらのストはもちろん先の委員会の命令に違反する。事態悪化の原因はBHP社自身にあるともいわれている。つまり、BHP社経営陣が、個別契約問題について協議しないピルバラ地区の労働者に対し嫌がらせを行ったと報じられたのである。

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