社会保障機構、保障対象を拡大
社会保障機構(SOCSO)は、5つの新スキームの導入を検討している。Socsoの適用範囲を自営業者に拡大することをはじめ、妊婦労働者、住宅ローン、家族手当、医療計画を支援するために新たな基金を設置する。
まず、適用範囲の自営業者への拡大については、Socsoが指名した保険数理士による調査が完了し、報告書がまもなく人的資源省に提出される。最終的に政府が承認すれば、農民や漁師を含む170万人以上の自営業者が恩恵を受けることになる。
Socsoは、労働災害、職業病、廃疾、死亡に対し労働者を保護することを目的とし、現在加入資格があるのは月収2000リンギ(1米ドル=3.8リンギ)未満の民間の従業員のみ。加入者数は850万人で、うち430万人が掛け金を拠出している(注1)。
妊婦労働者、住宅ローン、家族手当、医療計画を支援するための基金設置については、その財源を現在の掛け金総額で確保できるかの分析を保険数理事務所に依頼する。Socsoの現時点での掛け金積立残高は79億リンギで、1999年は22万8000人の受給者に総額5億160万リンギを支給した。
Socsoのワン・アブドゥル・ワハブ長官によると、妊婦に対する給付は、妊婦労働者に職場への残留を促すのを目的としている。調査によると、マレーシアでは女性の約4割が働いている。また家族手当は、現行の月払いの大家族手当とは別に支給する計画だ。
注
- Socsoは従業員社会保障法の運営機関である。同法のもとに用意されているスキームには、不測の業務上災害による傷害・疾病・死亡に対して補償する「業務上災害補償保険制度」と、原因を問わず傷病の結果、廃疾(就労不能)になった者に対して年金を補償する「廃疾年金制度」の二つがある。財源は、前者については使用者が拠出する掛け金により、後者については使用者と従業員が折半して拠出する掛け金により、それぞれ賄われる。掛け金率は、前者が各従業員の月収の1.25%、後者が同1.00%であり、したがって合計2.25%のうち使用者が1.75%、従業員が0.5%を負担することになる。
民間の従業員以外に、年金受給資格のない法人組織従業員にも加入資格がある。(本文へ)
2000年4月 マレーシアの記事一覧
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