内閣、公務員の定年延長案を却下

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年4月

内閣は、公務員の法定退職年齢を現行の55歳から引き上げるべきだという官公労連(Cuepacs)の提案を却下する方針をかためた。Cuepacsは昨年来、政府に二つの覚書を提出し、公務員の法定退職年齢の引き上げを求めていた。ただ、政府は、業績と必要に応じて勤務の延長は認める方針で、公務員局(PSD)は現在、推薦する公務員を決める際に部局長が依拠するガイドラインを作成している。

Cuepacsの N. シヴァスブラマニアム会長は、政府に送った覚書の中で、定年延長の理由として、(1)エンジニアリングや教職など、いくつかの部門で依然経験のある労働者が不足していること、(2)平均余命が延びていること(女性が72歳、男性が69歳)、(3)医療施設の改善により、55歳以降も働けるようになったこと・などを指摘し、定年を59歳に引き上げるよう要求していた。

同案に対し、内閣は、政府の給与支出が増えることや、労働市場に参入する新卒者や中退者に職を確保しなければならないことなどの理由から、これを却下した。

その一方で、政府は、55歳の定年を過ぎても一部で勤務の延長を認める方針を決定した。PSDは、昨年9月に生産性の高い公務員に限って定年退職後にさらに勤務を3年間延長することを提案していた。勤務延長が認められているのは、現在までのところ、事務局長、事務総長、教員など、スーパースケール職員のみ。PSDが現在詰めの作業に入っているガイドラインによると、再雇用は、部局長の推薦に基づき、年単位で実施され、最大3年までの延長が可能となる。再雇用制度の施行時期は、まだ明らかになっていない。

政府の今回の決定について、定年延長の提案を出したCuepacsは、最近の新卒者や中退者は民間部門を好む傾向があるため、政府が彼らの雇用確保について心配する必要はないと、提案が却下されたことに遺憾を表明しながらも、再雇用の道が開かれることについては歓迎している。ただその場合でも、努力を重ねている公務員だけが勤務延長を認められるよう厳格な人選基準を設けるよう要望した。

マレーシア労働組合会議(MTUC)は、政府の決定について、国民の要望から見ても、ヴィジョン2000の達成から見ても矛盾していると、不満を表明している。ランパック委員長は、雇用創出に寄与しているのは大半が民間部門である以上、新卒者や中退者の職の確保という大義名分はあたらないと論評している。

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