民間企業、定年引き上げに前向き

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年4月

マレーシア使用者連盟(MEF)の調査によると、5割を超える民間部門の使用者が定年(現行55歳)の引き上げに賛同している。大半の使用者が60歳が望ましいと考えており、一部は65歳を提案している。

調査は、質問形式でなされ、729社から回答が寄せられた(367社が製造業)。うち427社(59%)が定年の引き上げに賛成し、244社(34%)が反対している。

引き上げを支持する理由として、中高年の熟練労働者を確保したいとの回答が圧倒的に多く、また平均余命が延びたことにより、労働者の生産性も維持しうるという回答も多かった。

一方、引き上げに反対している使用者の多くは、55歳に達した労働者に追加雇用を提供するかどうかの決定権を保持したいと回答している。他の理由として、中高年労働者の給料や医療費が高いこと、生産性の低下、健康不安などが挙げられた。また、若年労働者の昇進機会の減少をあげる回答もあった。これら反対の使用者は、むしろ労働者に勤務延長の選択権を与えるべきだと考えている。

MEFのモフザニ会長によると、調査は、1999年に公務員局が公務員の定年を55歳以上に引き上げる案を発表したことを受けて実施した。MEFには計130万人を雇用する3300社が加入している。

モフザニ会長によると、330社(46%)は定年に関して決まった方針をもっておらず、217社(30%)は退職者を契約社員として雇用しており、176社(24%)は退職者を再雇用していない。また27社が男性従業員について定年をすでに60歳にしている。

新賃金体系の策定を呼びかける

モフザニ会長は、2000年1月19日、生産性にリンクした賃金体系のガイドライン策定に向けて、マレーシア労働組合会議と人的資源省に話し合いの再開を呼びかけた。

会長は、国内の景気が回復している現在、三者協議体である全国労働諮問委員会(National Labour Advisory Council)が、1996年に提案していたガイドライン見直しを進めるべきだとの考えを明らかにした。政労使の三者は、新しい賃金体系の導入は進むべき正しい方向だとの認識で一致していたが、アジア経済危機など、いくつかの障害のために、ガイドラインは結局導入されてこなかった。

現行の賃金体系は、錫鉱業やゴム・プランテーションから発展し、産業をとりまく環境の変化に応じて修正してきたが、会長は、マレーシアの現在の産業水準に適合する新しい体系を構築すべきだと述べた。会長の念頭にあるのは、従業員の賃金を企業・個人の生産性と業績に合わせて毎年調整される「生産性連結賃金」であり、「同賃金体系は大手企業の一部で採用されており、すでに成功していることがわかっている」(同会長)としている。

フォング人的資源大臣は、マレーシアはもはや労働集約的な国ではなく、急速に発展しつつある他の国々との競争に直面しているため、新しい賃金体系が必要であるとの考えを示している。

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