港湾労組の全国ストは終結

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年4月

2000年1月18日、インド港湾労働者が、100%の賃上げと港湾の民営化計画中止を要求しストに突入し、港湾作業に大きな影響を与えたが、2000年1月22日夜、ラジャナス・シン陸上運輸大臣と労働者側代表の全インド港湾労組S. R. クルカルニ委員長の合意により終結した。

同意書によると賃金協定の年限と新家賃手当てに対する労働者の要求は、大臣により、2000年3月31日以前に和解に向けて適当な水準に引き上げられることになった。シン大臣は、交渉の席に戻った5つの労組の代表に十分な酌量と実行力をもって問題を解決すると約束した。

労働者側は、賃金協定期間を5年毎にすることを要求し、一方、政府側は、港湾労働者等の賃金改定を10年毎にすることにより、政策の強化を目論みこれが大きな対立点だった。もう一つの要求は、新しい賃金改定がなされた1998年1月1日に遡及する家賃手当の支払いである。政府は、家賃手当ての各等級の最高額を1200ルピー(1ルピー=2.44円)、1000ルピー、600ルピー、400ルピーから、2400ルピー、2000ルピー、1500ルピー、1000ルピーに増額することには同意している。

また、廃止された都市補助手当て(CCA)の代わりに、労働者は1998年1月1日から港湾手当てが支給される。これにより、例えばカルカッタ、チェンナイ、ムンバイ、ジャワハラネルーの港湾トラストで働く労働者は、毎月300ルピーの港湾手当てが支払われ、ビサクハパナム、コチンの労働者には200ルピーの手当てが支払われる。

ストに参加したことによる犠牲者は無かったが、スト中に仕事を休んだことについては賃金が調整される。

しかし、スト後の進捗は微妙である。シン大臣は、5つの労組にストを中止させ問題解決のチャンスを得たが、政府当局は、シン大臣の提案に楽観的ではない。これらの要求の受諾は、他の部門への広範囲な影響が予想されるからである。もし港湾労働者への5年毎の賃金改定が決定されれば、パンドラの箱を開けることになり、他の部門の労組も同様の待遇を要求すると思われる。

政府は、依然として内閣の政策決定の強化を模索しており、港湾には自治があり、政府に依存せず、別の基準を使用すべきだという労働者の言い分を受け入れる事は難しい。一方、労組は、5年毎の賃金改定を規範化することを断固主張し、10年に延長する事へ妥協する雰囲気はない。ある労組は、シン大臣に問題解決を託した事にさえ反対した。

1998年1月1日に遡及しての家賃手当ての改定についても同様のことが言える。いずれにしても、政府は、港湾当局と協調しながら事を進めなければならないが、今後労働者側の抵抗がかなり予想される。

また、インド労働組合センターや全インド労働組合会議に加入している労組は、スト中止に同意したが、シン大臣の約束が「非常に曖昧」なため満足できないと抗議している。

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