組合承認件数、増加傾向続く

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年4月

1999年1月~10月期に労使間で新たに締結された組合承認協定が74件にのぼっていることが、労働組合会議(TUC)の調査で明らかになった(2000年1月)。2万1366人の労働者をカヴァーする。

組合承認の義務づけを盛り込んだ雇用関係法は1999年7月に成立し、今夏に施行される予定だが、承認協定の締結件数は、同法の成立が確実視されるにしたがい急増、1998年3月~11月期には34件(6万3500人)を記録した。前年つまり1997年の同期に締結された協定では1386人の労働者しかカヴァーされていなかったことと比較すると、その急増ぶりは明白だ。今回は、件数では1998年をはるかに上回り、同法が今夏施行されるまで増加は続く勢いだ。

TUCの同調査によれば、調査対象労組の7割近くが承認を確保するための運動に従事していると回答している。また46%が以前よりも承認を勝ち取る可能性が高まったと回答しており、承認獲得に関して楽観的な見方が労組の間に広がっていることが分かった。さらに60%の労組が承認立法により運動の仕方が変わったと回答している。

今回の調査結果についてジョン・モンクス書記長は、労組が新しい法環境を最大限に活用している証左だとする一方、トップ企業が労組とのパートナーシップの有効性に気づきはじめ、使用者は労組に対する従来の敵対心を捨てつつあるとしている。

組合承認立法の導入により、労組の立場は以前と比較してかなり有利になっているが、労働党支持の運動家や労組はより広範な雇用関連法規を導入するよう政府に対し今なお強力に働きかけていることが、労働党内部の非公開文書で明らかになった。当面ではとくに組合承認の権利と育児休暇の機会をさらに拡大することを強く求めている。

政府は、短期的には、これらの要求を退けると見られるが、労働党が次期総選挙に勝った場合、こうした要求が新たな雇用関連政策に取り入れられる公算は高いとされている。実際、上記の内部資料からは、職場における公平と尊厳の枠組を今後も堅持し、とくに家庭生活を尊重するような施策の実効性を高めていこうとしている政府の姿勢がうかがえる。

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