フォードで初のホワイトカラー争議へ

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年4月

英国フォードのホワイトカラースタッフは、賃金交渉(3年の複数年協定)で会社側の最終提案を拒否し、会社に再考を促すため2000年1月19日から労働争議の可否を問う投票にはいった。ストライキが実施されれば、フォードでは初めてのホワイトカラーによる公式争議となる。

先に妥結を見た製造労働者の賃金協定では、3年間の上げ幅は、40時間から37.5時間への週労働時間の短縮を考慮すると15%に達する。これに対し、ホワイトカラーに関する最終提案は11%。フォード側の説明によれば、ブルーカラーとホワイトカラーの週労働時間を同じにするため、すでに37.5時間に移行しているホワイトカラーについては、労働時間の短縮は盛り込まず、基本給の上げ幅をブルーカラーと同水準にするにとどまった。

エンジニア、情報技術者、管理スタッフなどホワイトカラー7000人を代表する製造・科学・金融組合(MSF)と運輸一般労組(TGWU)は、フォードの最終案を不服とし、ホワイトカラーの労働時間を短縮するか、基本給の上げ幅を拡大するかのいずれかを求めている。

MSF のテリー・パイ中央書記長は、もしフォードが交渉を再開しなければ、労働争議は避けられないと警告している。労組によると、ホワイトカラー組合員がストライキに踏み切れば、英国フォードは数日以内に活動停止に追い込まれ、フォード全体が打撃を受けることになる。これらのスタッフは技能水準が高く、新車の開発に携わり、製造工程を管理し、フォード内部の財務やロジスティックスをすべて取り仕切っているためだ。ここ数年間にフォードのグローバリゼーション計画が進んだ結果、局所的な争議行為でもその影響はフォード全体に波及しうると労組は主張している。

その一方で、このグローバリゼーションによってむしろ労組の交渉力が弱まるとの指摘もある。フォードのヨーロッパにおける事業は非常に統合化されているため、一部工場のホワイトカラーの業務は他の工場に代行させることが可能だからだ。

このような事態を避けるため英国労組は、ドイツのケルンで開催されたフォード欧州労使協議会会議で、ストライキの間にフォードが他の欧州工場に業務を代行させようとしても、それに応じないように、欧州フォードの労働者に支援を呼びかけた。

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