10万人の政府臨時職員のレイオフ計画

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年4月

エストラーダ政権は約140万人いる政府職員のリストラを長期にわたり検討してきていたが、ラグエスマ労働大臣は、財源不足のため2000年に臨時職員約10万人をレイオフする事を発表した。政府は、この人員削減により経費を削減し、他の価値あるプロジェクトを実施するとしている。

しかし、反対議員は、資金不足の説明に対し反論し、国家公務員の人件費の予算が160億ペソ(1ペソ=2.59円)増額されるのに、政府がレイオフを計画しているのを皮肉った。その1人、ローランド・アンダヤ・ジュニア氏は次のように主張した。政府の人件費への支出は、1999年の2199億ペソから2000年は2356億ペソに上昇した。財政危機の時代にも、職を保護し、労働者を消却可能な荷物のように取り扱うべきでない。公務員は、人口の1.98%であるが、多くのアジアの各国は国家公務員の総数が人口の2%を超えている。フィリピンは1000人に19人の公務員が雇用されているが、シンガポールでは、1000人に23人、ヨーロッパでは1000人に70人、ブルネイでは1000人に73人もいる。政府機関は、臨時職員をレイオフするよりも人員不足の部門へ移動させるべきだ。

また、公務員委員会コラゾン・アルマ・デ・レオン委員長は、地方は、政府の臨時職員レイオフの影響を最も受けると述べ、過去の経験から、レイオフされる労働者のかなりの比率を占めると述べた。尚、共和国法第6656条により、勤続年数5年未満の臨時職員を最初に解雇し、5年以上の職員はこの後になっている。

国内の最大の労働者を抱える政府による大量のレイオフは国の失業問題を一層深刻なものにすると予想される。

尚、エストラーダ大統領は、公務員からの強い抗議を無視し過去2年間支給していた7200ペソの年末手当てを取り消した。

地方政府の臨時職員レイオフ問題は、まだ具体的に発表されていないが、マンダラヤング市では、財政危機のため臨時職員4000人の雇用が危ぶまれていると報道されている。

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