クルーグマン、「タイの経済回復は銅メダル」とコメント

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年3月

マサチューセッツ工科大学のポール・クルーグマン教授が、1999年12月20日バンコク銀行主催の講演で「タイの経済回復は、韓国、マレーシアに続き銅メダルに値する」とコメントした。

クルーグマン教授はタイの経済回復について、問題がすべて解決したとは言えないが、回復には確信が持てると述べた。韓国のウオン、マレーシアのリンギに続き、タイ・バーツは主要な国際通貨に対して安定した為替レートを保っていると評価した。タイは、不動産などに対する過剰投資の問題によって回復が妨げられていたとし、政府がそのような問題に対処し始めていることも評価している。

また、同教授は、今後の不安要因として、不安定な国際環境と公債の増加による財政問題を挙げている。財政問題の解決を急ぐことは好ましくなく、日本が行った1997年から1998年の税率引き下げ策などは成長を阻害する例として挙げられた。そして、現在の経済回復政策が生産面と雇用面では功を奏しているとしながらも、成長という観点からは十分ではないとしている。特に、タイの投資家だけでなく海外投資家からも、成長に必要な新しい投資を呼び込むため、貸借対照表の再構築が必要であることを主張した。

さらに同教授は、韓国、タイ、インドネシアに対する IMFの政策について批判した。3国に必要とされる構造的改革には時間が必要とされ、IMFの要求する緊急の財政引締めは好ましくないとした。そして、財政問題を解決するためには、通貨政策の思い切った改革が必要であると述べた。

また、アジアの経済回復はアメリカ経済の好況に大きく依存しており、アメリカ経済が不況になることに備えて、自国の経済の活性化に取り組むことが必要不可欠と語った。

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