失業者数減少
―雇用状況

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年3月

労働社会福祉省は1999年12月12日、タイの経済回復に伴って失業者数が減少していることを発表した。1999年の5月に失業者数が170万人であったのに比べ、1999年の9月には140万人に減少した。また、1999年5月以降、社会保障制度を取り入れる経営者も増加してきており、1998年の12月の9万3000人から、1999年10月には9万8000人に増加した。このような傾向は経済が回復している証拠であるといえるだろう。

しかし、政府の労働統計は失業者を過小評価する傾向がある。政府統計では、「失業者」を「18歳以上で積極的に就職活動をしているもの」と定義しており、農閑期の季節的な失業者などはこれに含まれていない。このような季節的な失業者を含めると失業者は500万人前後と推定されている。タイでは農業人口が6割といわれており、農閑期の出稼ぎとして、都市に出てくる労働者も1998年以降の経済回復にともなって増加傾向にある。

また、雇用状況を示すものとして雇用局に登録しているメイドの登録者数がある。1998年には、失業中の夫のかわりに家計を支えるために、主婦がメイドの登録に殺到したが、不況時のメイドの需要は低く、登録しても職に就ける可能性は低かった。しかし、1999年に入ってからは、夫が就職したために登録を解除する主婦が増加した。

失業者数が減少傾向にある一方で、大学の新卒者の求人はそれほど伸びていないのが現状である。求人情報誌で求められる人材のほとんどが、エグゼクティブレベルや専門家の人材で、コンピューターや英語に精通した人が特に求められているという。バンコクポストの求人欄でも、昨年比で50%も求人数が増加しているが、ほとんどがマーケティング、営業、会計、小売業等の分野で経験のある中堅クラスの人材への求人であるという。また、欧米の学卒者や欧米企業での職務経験のある人材が求められている。

繊維や縫製といった労働集約的な産業では、求人はほとんど伸びていない。単純労働者に対する需要は低く、即戦力としての高い専門性を持った経験者に対する需要が高いといえる。

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