賃金上昇率を欧州のインフレ率にあわせるようスペイン銀行提言

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年3月

スペイン銀行では賃金上昇率が欧州のインフレ率を上回ることの危険性を訴え、労使間の団体交渉でも欧州インフレ率を基準として賃金交渉を進めるよう提言している。これは、賃金上昇をめぐる交渉が通常政府の設定する国内インフレ率を基準として行われてきたことを考えれば、画期的なことといえる。すなわち、スペイン企業の労働費用を欧州レベルでの物価変動にあわせることで、国内と欧州全体とのインフレ動向をそろえようというものである。スペイン銀行ではまた、もしこれが可能でなければ企業の生産性向上に向けた労働市場の構造改革を行うべきとしている。

スペイン銀行が危険信号を発した背景には、燃料価格の高騰、およびここ数年維持されてきた賃金抑制傾向の破綻がある。

しかしながらこうした傾向は、少なくとも1999年中は企業に大きな影響を与えたようには見えない。企業の利益は前年のレベルを保っており、やや低下した場合でも労働費用の上昇でなくエネルギー製品価格によるものと見られている。

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