最高裁、国鉄に年金等の支払命令

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年3月

最高裁判所は、インド国有鉄道に、総額45億~50億ルピーの年金と退職手当の支払いを命じた。この最高裁の判決は、1973年1月1日~1998年12月4日の間に退職した運行職員に当てはまる。退職者は、以前はキロメートル当り固定された比率で手当てを得ており、その金額は、最高、基本給の75%になっていた。

しかし、1988年12月5日の鉄道委員会命令により、国有鉄道の給付額を大幅に切り下げ、1973年1月1日~1979年3月31日までの退職者は最高45%の支払い、1979年4月1日~1988年12月4日までの退職者は最高55%にした。

鉄道員年金連合会副会長パドマナバンによると、この決定により運行職員の給付額は、減額された。このため、1973年~1988年の間に退職しこの影響を受けた退職者は、委員会の経営的決定に反対し、デリー等の行政審判所に訴えた。

鉄道委員会は、判決を不服として最高裁に上告していた。1997年7月25日からされている審議で、最高裁は、委員会の指令は、退職者から正当な権利を奪い、憲法違反だとし、委員会の上告を却下した。

鉄道委員会は、1997年10月14日、全ての地域の支社長に、1973年1月1日~1998年12月4日の間に退職した職員の年金と他の退職手当を、最高額が基本給の75%を基礎に再計算するよう新しい指令を発した。未払い金は、退職者が生存していれば退職者に、死亡していれば、配偶者または法定相続人に支払われる。

報道によると中央鉄道には、未払い金を要求できる退職者が1万3000~1万4000人いる、他の8つの鉄道会社からの退職者を考慮すると、9万人近い退職者に支給されることになる。もし未払い金に利息の支払いも義務づけられると、それぞれの退職者は、少なくとも5万ルピーが支給され、鉄道会社の総費用は、45億ルピーを超える。

最高裁が判決を下してから2年経過ごしたが、各鉄道会社は、退職者の古い記録が存在しないと主張し、殆ど進展が見られていない。

パドマナバン副会長は、該当者がまだ生存していたとすると、1973年~1988年の間に退職した職員は、今日では、70~84歳になっており、彼等の多くは、既に死亡していると予想され、退職者の記録が鉄道会社に保存されていないため、老齢の退職者は、彼等の当然の権利を剥奪されるかもしれないと憂慮している。

現在、中央鉄道は、退職者の基礎データを計算し始めたが、再計算は、権利を主張した退職者にのみ行われたとされている。政府側は、正確な数値を把握していない。

鉄道員年金連合会会長サブラマニアムは、鉄道委員会の遅滞戦術による全ての混乱を非難した。

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