新大臣がインド鉄鋼公社の再建を最重要課題に

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年3月

新鉄鋼・鉱業担当のデリップ・ライ国務大臣は、ヤシワット・シン大蔵大臣に会いインド鉄鋼公社(SAIL) と建計画の早急な許可を求める予定である。ライ大臣は、SAILの再建は、最重要課題とすると述べ、鉄鋼産業は厳しい過渡期にあることを強調し、シン蔵相の他に、ママタ・バナルジ鉄道大臣、ムラソリ・マラン商業大臣ともこの重要産業の再生について協議すると述べた。また、ライ大臣は、鉄鋼産業が国際的鉄鋼市場の形成情況について調査することを希望した。

また、1999年10月末には、この問題について研究するために民間の鉄鋼会社との会議が開かれる。

SAILは、1998年度157億4000万ルピー(1ルピー=2.51円)の損失を負っているため、今後5年間に、定年退職と自主退職により17万人の労働者の40%を削減し、約10万人にするよう努力している。1999年10月7日までに、1万99人から自主退職制度を選択する申請を受けた。会社は、自主退職を選択した労働者の年間賃金の約30%を節約できる。特に、賃金面について考察すると、SAILの年間の総賃金は、1998年度で238億1000万ルピー以上である。これは、1991年度の120億3000万ルピーと比較すると急激な増加であった。特に、1997年1月1日からの賃金改定により支出額は倍増した。

これらの削減計画は、国際的コンサルタント会社マッキンゼイによって、勧められた再建計画と、現代的な技術を導入している他のインドの鉄鋼会社の雇用状態の分析に基づいている。

SAILは、一般労働者の削減の他に契約労働者の削減も計画しているが、それでも、SAILの人件費は、韓国のポハン製鉄、イギリスのブリテッシュ製鉄等の世界的な企業と比較するとかなり多い。

また、SAILは、定年の58歳から60歳への引き上げにより、1998年5月から定年退職者が一時的に停止している。このため、SAILは、統合整理する製鉄工場において、自主退職制度を通じて更なる退職者を募集する。

現在、SAILは、総額150億ルピーの銀行からの借入金の保証となる政府の支援を求めている。借入金は、大幅な人員削減のために使用される。SAILの経営幹部によると、この支援が承認されれば、人員削減計画は、50歳以上の労働者の多い製鉄工場では、それほど困難でなくなる。

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