週35時間制法が成立

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年3月

国民議会は1999年12月15日、週35時間制第2法案を最終的に可決した。野党は全員が反対票を投じたが、連立与党の支持によって成立が決まった。共和国連合(RPR)、フランス民主連合(UDF)などの保守系野党は、この法案が事業の自由と法の前での平等の原則を侵害しているとして、憲法評議会に提訴した。憲法評議会が判断を下すまでには1カ月が必要だ。その後、大統領が同法を公布してから、必要な施行令を待たなければならないので、同法の実施は2000年2月1日以降となる。週35時間制第2法の最終的な内容は以下の通りである。

労働時間

同法施行令が遅れて発表される場合でも、従業員21人以上の企業については、2000年1月1日以降法定労働時間が週35時間となる。と言うのも、この日付はオブリ第1法で定められていたからである。従業員20人以下の企業はこの規定の適用が2002年1月1日まで猶予されるが、それまでに3段階に分けて時短を進めることができる。

最長労働時間

企業の従業員は連続すると2週間で週44時間(部門協約がある場合は46時間)を超えて働くことができない。労働時間を年計算する場合、年間で1600時間を超えることができない。

実労働時間

従業員が使用者の支配下にある場合には、食事時間や休憩時間も賃金支払い対象時間に含められる。ユニフォームの着用が義務的である場合には、着替え時間も金銭もしくは休憩時間の形で代償の対象としなければならない。この点で、従業員にもっと有利な団体協約、慣行、労働契約は、引き続き適用することができる。

時間外労働

週35時間から39時間までの間の時間外労働には25%の割増賃金が支払われる。企業が週35時間制にとどまる場合、休暇の形態で15%の割り増しが支払われ、残りの10%は週35時間制補助基金へ払い込まれる。しかし、1~2年の移行期の間は、割り増し全体で10%にしかならない。また、週39~43時間の時間外労働は割り増しが25%、それを超えると50%になる。時間外労働の年間枠はやはり130時間である。

管理

労働時間の計算が各従業員について自動記録システムで行われる場合、信頼できる偽造のできないシステムを用いなければならない。

雇用

採用の義務はなくなったが、協約によって雇用の創出数もしくは保全数を定めなければならない。年次時短報告書を作成しなければならない。

従業員総数

委託販売外交員は企業の従業員総数を数える場合に考慮されない。仲介企業の場合、常勤従業員および年間に3カ月以上働く労働契約が締結されている労働者だけが含められる。

補助

社会保険料軽減の恩典を受ける場合、1つもしくは複数の過半数支配組合が企業協約に調印していなければならない。それがない場合には、組合の申請によって、従業員投票が実施される。委任従業員が調印した協約は従業員の過半数に支持されなければならない。企業に不正があった場合、補助の恩典は取り消される。組合と従業員の代表者は当局に訴えることができる。労働時間が週35時間の半分に満たない労働者は社会保険料軽減の対象にならない。

最低賃金(SMIC)

2005年まで、「差額補填の支払い」によってSMICが保証される。新規採用者とパートタイム労働者(比例配分)にも同じ条件が適用される。新規設立企業が補助を受ける場合も、この規則を遵守していなければならない。

請負制

毎日の労働を評価することが難しい管理職には、年間217労働日を限度に労働日請負制が適用される。組合は、協約の他の部分に関係なく、この措置に反対する権利を行使させることができる。使用者は3年の間、この請負制の計算を労働監督官の手に委ねなければならない。係争の場合、管理職は裁判所に訴えて、補償を要求することができる。「実際の自主性」を行使できる管理職以外の巡回販売員には、年間の時間請負制も適用できる。時間請負制は、労働日請負制と異なり、1日の最長労働時間が定められる。

休暇

労働時間の短縮は、4週間の追加的な休暇もしくは使用者と労働者で決定する1日休暇や半日休暇をもたらすことができる。労働者はこれらの休暇日数を時間貯蓄勘定へ割り当てることもできる。

時間貯蓄勘定

時間貯蓄勘定は5年以内に消化しなければならない。また、年間に最大で25日を時間貯蓄勘定に割り当てることができる。16歳未満の子供、75歳以上の親、もしくは介護の必要な親をもっている場合、労働者が休暇の権利を行使しなければならない期間は10年に延長される。

職業訓練

従業員の書面の同意がある場合、一部は実労働時間外で「能力開発」を行うことができる。

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