SA8000(労働者の権利に関する基準)取得に向けて

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年2月

タイの工場や輸出業者は、海外との事業提携が増加するにつれて、労働者の権利に関する新しい国際基準を採用する必要性がでてきていると多くの専門家が警告している。

例えば、タイの製品や部品が就業年齢に満たない児童によって作られたことが判明した場合、SA8000の基準のもと、小売業者や最終消費者によってボイコットされる恐れがあるという。

SA8000とは、労組、人権活動組織、児童労働のための組織、学際分野、小売業、製造業、コンサルタントなどの各分野の代表からなる団体、「経済的優先権に関する会議」(the Council on Economic Priorities:CEP)によって作られた労働者の権利に関する基準である。

この労働基準では、児童労働、強制労働、健康で安全な職場、組織化の自由、集団交渉の権利、労働時間、労働保障などの項目についての基準が設けてある。

タイやアジアの発展途上国における工場の多くは、従業員の基本的権利という側面において適切な労働基準が設けられていない。

ちなみに、なじみの深い ISO 基準と SA8000はいくつかの違いがある。ISO と違って SA8000では、客観的な事実に基づいて承認するのではなく、従業員の中からサンプルを抽出し、労働者の権利が剥奪されていないかを調査するという方法で承認を行う。世界に先駆けて SA8000を取得したのは SGS-ICS という企業で、SGS タイランドでは、年内にも国内20の工場で SA8000の承認を受ける予定ということで、今後もますますこのような企業が増えていくものと思われる。

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