生活の質向上

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

ブラジルの記事一覧

  • 国別労働トピック:2000年2月

ブラジル地理統計資料院(IBGE)は1997年に行なった全国抽出見本調査の結果を1999年11月に発表した。1988年、1993年、1998年を比較して生活の質の向上が報告されている。世帯当りの電話普及率は1993年の19.8%が1998年は32%へ増加した。しかし大都市が主体であり、農村地帯の普及は6.5%にとどまっている。1998年7月から始まった電話公社の民営化によって電話が急速に普及した結果であり、電話は大衆の購買力が低くて購入できないのではなく、公社の提供が少なくて入手できなかった影響が大きい。公社時代には申し込みから入手まで2年は待たされ、早急に必要なためヤミ市場から買うと4000ドルだった。テレビの全世帯に対する普及は1993年の75.8%が1998年は87.5%へ、ラジオは1998年に90.4%に達した。テレビを入手してから、冷蔵庫のような電気電子製品の購入に向かっており、最も普及が遅れているフリーザーも1993年の13%は1998年に20%へ増加した。電化は全国世帯数の94.2%となり、水道普及は75%から79%へと増加している。教育の普及は最も目立った成果としてとりあげられた。7~14歳の初等科の前半にあたる児童のうち通学しない割合は1993年の11.5%が1998年は5.3%に下がり、この年齢の児童を労働から開放して通学させた場合は児童1人当り、最低給料の半分を毎月給付するような政府の措置の効果が現れている。全就労者に占める中等科までの12年卒は1993年の14.4%から1998年は17.3%へ増加し、同期に完全文盲は1730万人から1640万人へ減少している。

所得配分、少し好転

高インフレ時代にインフレに対応する手段を持たなかった貧困層は、低インフレ時代になって購買力を向上させたが、所得配分はたいして好転していない。1998年に報酬を得ていた就労者5950万人の内、10%に当たる高額所得者は、2489レアル(1ドルは約1.9レアル)以上の収入を得ており、これが就労人口全体の所得の46.5%を占めていた。就労人口の平均収入は533レアルとなっている。就労人口の10%に当たる底辺の月額収入は1993年に平均28レアルを得ていたものが1998年には56レアルとなって、就労人口の全体の収入のわずか1%となっている。この上のクラスに当たる10%底辺の就労者は収入は、同期に70レアルから116レアルへと増加した。資料院では1998年に就労者全体の収入が前年比で0.9%低下した時、最低給料の2倍以下のクラスは前年より収入が増加したが、それ以上の収入クラスは全て減少していることを取り上げて、わずかではあるが、底辺が上昇していることは重要だとコメントしている。しかしこの所得配分の不均衡はエルサルバドルやホンジュラス並みの水準だと比較されている。1998年の就労者の収入は前年比で0.9%低下だが、1996年比にすると2%後退となる。給料の高い就労者と公式登録労働者が最も低下が大きい。

2000年2月 ブラジルの記事一覧

関連情報